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3勝して3校分の校歌を… 夏の県予選へ「連合チームは弱くない」

2022年7月3日10時45分

朝日新聞DIGITAL

 本州最南端のまち、和歌山県串本町にあるサンナンタンランド野球場。6月の中旬、白、アイボリー、グレーとそれぞれ色合いが違う三つのユニホームが守備位置に走っていった。選手たちは、有田中央の6人、貴志川の3人、串本古座の7人。この夏、3校は連合チームで勝利をめざす。

 昨夏に3年生が引退したあと、3校は単独でチームを組めなくなった。昨秋の県大会は、有田中央と串本古座がチームを組み、貴志川は、同じように部員が少なかった紀北農芸と組んで出場。2チームは2回戦で対戦し、有田中央・串本古座が10―5で勝利していた。

 期待していた今春の新入部員はというと、有田中央が2人、串本古座が1人、貴志川はゼロだった。紀北農芸には5人が入部し、今夏は単独で出場する。

 夏に向け、3校の教員たちは連絡を取り合った。先に有田中央と貴志川が組むことが決まった。そして、串本古座は迷っていた。春の県大会は助っ人2人を加えて計9人で出場。熊谷耕一郎監督は、3年生たちに尋ねた。「どうする? 9人ぎりぎりになるけど」。けが人が1人でも出れば、試合ができなくなる。答えは、「連合で臨みたい」だった。

 4月中旬、3校の結成が決まった。部員不足を理由とした連合チームの出場は、夏の和歌山大会では初めてのことだった。

 同月30日、サンナンタンランド野球場で3校の選手が初めて集まった。それぞれの主将が練習前に本塁ベース付近で、連合チームの主将を誰にするか話し合った。

 しかし、話し合いとは言えないほど、簡単に決まった。およそ5分。

 「おれが主将をやりたい。このチームでベスト8に入りたい」。強い気持ちを口にしたのは貴志川の笠松亜寿(あーす)選手だった。

 ふだんは笑顔が多いが、このときばかりは真剣だったと振り返るのは、有田中央の主将・西山和樹選手。「これだけ気持ちがあるなら任せていいかなと思った」。串本古座の主将・種井祐貴選手も「任せたい」と気持ちは同じだった。笠松選手は「自分が一番声を出せると思ったから主将になろうと思っていた」。

 3校があるのは有田川町、紀の川市、串本町。大阪府と接する紀の川市と本州最南端の串本町は直線でも約100キロの距離。そろって練習できるのは週末しかない。結成当初はベンチで学校ごとに分かれて座り、練習試合は大敗が続いた。だが、合計9人の3年生を中心に結束。SNSで練習試合の感想などを送り合い、仲を深めた。串本古座の猪村凌選手は「単独で出られず悲しかったが、信頼できるチームメートと出会えた。連合を組んで良かった」と話す。

 先月19日、チームは新翔と練習試合を2試合戦った。初戦は一回に8失点するなど守りが崩れ、七回コールド負け。しかし2試合目は粘った。三回に中軸の猪村選手の適時打などで2点を先行。先発した西山選手が七回までリードを守る。終盤、反撃されたが8―8で試合終了。逆転は許さなかった。

 試合後、笠松選手は「2試合目は先制点を取ってリズムに乗れた。反省点を練習で詰めていきたい」と前を向いた。連合チームの指揮をとる有田中央の岩尾元監督は言う。「選手たちは試合ができる喜びを感じている。連合チームは弱いというイメージがあるかもしれないが、決して弱くない」。

 初戦に勝ったら、1、2年生がいない貴志川の校歌を歌う。連合チーム全員の総意だ。だから、3勝して3校分の校歌を歌うことが目標だ。

    ◇

 連合チーム参加の背景には、やはり生徒数の減少や野球離れがある。3校の生徒数の合計は10年前の計約1600人から半分以下の700人台になっている。県高校野球連盟によると、男子の部員数は確認できる資料では、2013年度の1444人に対し、22年度は2割減の1182人。(伊藤秀樹)

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