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「ルーキーズ」野球が始動 川藤先生に憧れた品川翔英監督が贈る言葉

2022年7月7日07時00分

朝日新聞DIGITAL

 九回表2死。守る品川翔英(東京都品川区)は3点のリード。3番手の投手、高木英寿(2年)が最後の打者を三振に仕留めた。ゲームセット。「よしっ」。石田寛監督(34)は右手をぎゅっと握りしめた。

 6月4日、大田桜台(東京都大田区)のグラウンドであった大田桜台・葛西南・つばさ総合の合同チームとの練習試合で、今年4月に創部した品川翔英が2勝目をあげた。小野学園女子高が2020年に共学となり、野球部は翌年に同好会としてスタート。この春に部へ昇格した。部員集めから尽力してきたのが石田監督だ。

 試合中はワンプレーごとに石田監督の明るい声が響く。三振しても「右方向の意識はオッケーだよ!」。不安そうに打席に入る選手に「楽しまなきゃ」。試合後は「失敗も次に生かせばいいから」。とにかく意識するのは、楽しく野球をやること。「ポジティブな方向に変換します」

 野球部を舞台に熱血教師とヤンキーたちのぶつかり合いを描いた人気ドラマ「ROOKIES(ルーキーズ)」にあこがれ、教師になった石田監督。その熱意と明るさで、赴任する先々の高校で野球部を立て直してきた。

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 石田監督は元球児。都内の私立高校の控え捕手だった。「都大会で3~4回戦レベルのチーム」だったが、練習は厳しかった。それに耐えることが「格好良い」と思っていた。もちろん丸刈り。全てを野球に捧げた。でも振り返ると、「ミスしないように」との思いが先行し、伸び伸びとプレーできなかった。

 大学生になって始めた草野球が楽しかった。みんなで打順を考えて試合に臨んだり、凡打になっても明るく励まし合ったり。そんな頃に「ルーキーズ」を見て感動した。「やさぐれた子たちを立ち直らせ、夢や目標を持たせてあげたい」。ドラマの主人公のような高校野球の監督を夢見たが、「自分の実力では無理だ」と断念した。

 建築関係の民間企業に就職したものの、あきらめきれなかった。「自分には自分の色がある」。こう決意して26歳で脱サラし、教員の道へ進んだ。目指す野球は「怒らない・楽しくやる・脱丸刈り」。

 最初に着任したのは赤羽商(19年度で閉校)。野球部はあったが、部員ゼロの休止状態だった。校内全18クラスをかけ回って選手を集めて、翌年には夏の大会に出場した。18年に定時制の朝霞(埼玉県)へ。ここも部員ゼロ。部員集めから始めた野球部は翌年、定時制通信制の県大会で優勝し、全国大会出場を果たした。

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 21年、品川翔英に採用された。その面接では、専門科目だけでなく野球部についてプレゼン。「グラウンドがなくても練習をする方法があり、力をつけることができる」とスライドを使って説明した。「こんな人は初めて」と校長は驚いた。

 まずは同好会から。1年生11人が集まった。硬式野球経験者は1人だけ。全くの初心者も2人いた。

 校内には野球ができるグラウンドがない。教室内で羽打ちをしたり、テニスボールでゴロを捕る練習をしたりと基礎練習を繰り返す。ノックなどは25メートルプールほどの広さの駐車場で。それさえ他部と共有で使う日もある。投球練習用に、跳び箱の最上部とベニヤ板を組み合わせて「マウンド」を作った。

 1年目は草野球チームと試合した。フライやゴロが捕れず、バットを振ってもボールに当たらない。ネットで探して対戦した中学生チームにも15点ほど奪われ、こちらは1点も取れず惨敗だった。「中学生に負けるのは恥ずかしい」と選手たちは落ち込んだが、石田監督は「負けは成功者が必ず通る道。負けを乗り越えればいい」と鼓舞し続けた。

 部になった今春以降は高校生と練習試合をしたが、4試合中3試合が10点差以上での負けだった。しかし、少しずつフライやゴロも捕れるようになり、スクイズも決まるようになった。

 こうして迎えた5月15日、葛西工との練習試合。延長戦を11―5で制し、初勝利を飾った。石田監督は涙をこらえ、「本当にうれしいけど、涙は公式戦の勝利まで取っておく」。そんな石田監督について、エース生田蓮(2年)は「自分たちと一緒の目線に立ってくれる人。指導者だけど良き相談相手」と慕う。「ちょっと、おやじギャグが多いけど……」

 初の公式戦は東東京大会。7月12日、アマチュア野球の聖地・神宮球場で。対戦相手は上野学園と決まった。白地に青色で「品川翔英」と書かれた真新しいユニホームのデザインは選手が手がけた。石田監督は試合前、「ルーキーズ」の主人公、川藤先生の言葉を選手たちに伝えるつもりだ。「夢にときめけ、明日にきらめけ!」(本多由佳)

 ■初の公式戦、挑めて幸せ

 品川翔英の石田寛監督(34) 夢舞台に立つことをとにかく楽しんでほしい。初の公式戦はみんなが憧れた甲子園につながっている。そんな試合に挑めて幸せだと思う。本番までに、全力でみんなを褒めて、自信をつけさせて試合に送り出す。

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