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高校野球が人生を豊かにしてくれた 育成功労賞に多田一也さん

2022年6月25日10時15分

朝日新聞DIGITAL

 高校野球の発展に尽くした指導者に日本高校野球連盟と朝日新聞社が贈る今年の「育成功労賞」に、岡山県高野連の前会長、多田一也さん(61)が選ばれた。強豪校を指導した経験はないが、監督としての献身的な取り組みが評価された。

 玉野市出身。玉野高で強肩の三塁手として2年時に秋季県大会で初優勝し、中国大会に進出した。「あと少しで選抜甲子園」と気負ったものの2回戦で鳥取勢に0―2で敗退。後にプロ入りする相手校のエースの投球に「見たことがないほど速かった」と舌を巻いた。最後の夏は岡山大会8強。夢舞台は遠かった。

 日体大に進み、教員の道へ。指導者として甲子園出場を目指したが、初めて監督を務めたのは倉敷青陵。野球の有力校とはいえない進学校で、中学では補欠だったという子も少なくなかった。

 「へたくそ同士だ。頑張ればレギュラーになれる」。一人ひとりを鼓舞してチームの底上げに腐心した。

 県外の強豪校にも働きかけて練習試合を組んだ。履正社、池田、広島商……。「相手も高校生。甲子園は別世界ではない」。力の差を縮めるために何をすべきかを考えるよう求めた。力負けは続いたが気後れはなくなった。

 児島に移ると、部員減による廃部の危機を経験した。一方で、古豪の名将から大切な言葉をもらったことがある。

 箕島との練習試合で和歌山に出向いたとき、同校を甲子園で春夏4度の優勝に導いた尾藤公さんに声をかけられた。「11回拾ったよ」。箕島の捕手が外したマスクを児島の打者が拾って渡す回数を数えていた。

 いまでは珍しくないマナーの一つに感心してもらえた。あいさつや全力疾走を徹底してきた指導方針が認められた気がした。

 倉敷鷲羽の監督を最後に現場を離れて高野連の役員になった。

 3校とも部員10~20人ほどの小所帯。負けを覚悟で全選手を使って落とした試合も数知れず。「強いチームをつくれなかった。子どもたちには申し訳ない」との思いは消えない。

 一方で「幸運にも監督として子どもたちと接する立場に恵まれ、人生を豊かにしてもらえた」。教え子たちには感謝の思いを忘れない。

 この春に玉野高の校長を退き、今は環太平洋大の広報担当を務める。県高野連役員としては県内各大会の運営に貢献してきた。

 「いまの自分があるのは高校野球のおかげ。大好きな高校野球に長年関われた上に……大変ありがたい」。育成功労賞の喜びを語る言葉に、この賞を受賞した理由が表れている。(小沢邦男)

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