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へこたれず、迎えた3度目の夏 涙をぬぐった主将の言葉にほっとした

2022年6月19日07時30分

朝日新聞DIGITAL

 (18日、第104回全国高校野球選手権沖縄大会1回戦 未来沖縄8―0那覇商)

 その言葉を聞いて、少しだけ、ほっとした。

 那覇商の主将でエース栄優輝は、泥だらけの手で涙をぬぐい、ほほ笑んだ。

 「3年間、つらかった。でも、野球を続けて本当によかった。きょうの試合でそう思えました」

 沖縄セルラーでの開始式直後の試合に登場し、七回コールドで未来沖縄に敗れた。栄は11安打を浴びながら投げ抜いた。

 試合後のベンチ裏。仲間たちの背中をぽんっとたたいて、「ありがとう」と言った。

 栄たちいまの高校3年生は、入学した直後から新型コロナに振り回されてきた学年だ。休校になったり、練習や練習試合が厳しく制限されたり。

 1年前、沖縄は感染状況が特にひどかった。沖縄大会の開幕は2週間ずれ込んだ。

 球児たちはどう準備しているのだろう。ある選手に電話で話を聞くと、休校中は近所の公園の片隅で練習してきたという。

 なぜ片隅なのか。

 「コロナのなかで野球をやっている後ろめたさがあったから、なるべく人目につかない場所を選びました」

 胸が締め付けられそうな思いになった。

 観客が家族に限られた決勝を現地で取材した。

 優勝した沖縄尚学の選手たちが、派手に喜ぶことはなかった。練習が制限されてきたライバルたちの心情に配慮したのだという。

 栄は何度も退部を考えたという。それでも「続けていれば、きっといいことがあるはず」と仲間と励まし合い、踏みとどまった。

 一般客が戻ったこの日、野球部以外の生徒も応援に駆けつけ、大きな拍手を送ってくれた。

 「応援が力になった。やっぱり野球って楽しいなって」。栄が野球をあきらめなかったからこそ、見られた景色だった。

 新型コロナ以前に比べれば、練習量も実戦経験も少ない世代だろう。

 今春の選抜大会では、球速や飛距離が例年より劣る傾向が見られたし、「目立つ3年生は少ない」とのプロのスカウトの声も聞いた。

 一生懸命に白球を追う球児の姿を見ていると、それでもいいじゃないかと、強く感じる。

 この2年余り、コロナに振り回されながら、へこたれず、3度目の夏を迎えたのだから。

 豪速球を投げられなくても、ホームランをかっ飛ばせなくても、胸を張って、思い切りプレーしてください。(山口裕起)

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