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入学2カ月で広陵の背番号1「今までいなかった」 抜擢させた強みは

2022年6月7日17時30分

朝日新聞DIGITAL

 (7日、春季高校野球中国大会決勝 創志学園5―4広陵)

 1―1の五回、広陵(広島)ベンチは無死満塁のピンチで2番手投手に1年生エースの高尾響を送り出した。

 100年以上の歴史を持つ広陵の野球部で、1年生が背番号1をつけるのは異例だ。

 チームを率いて約30年の中井監督も「今までいなかった」という。

 入学して間もない投手には酷な場面に映ったが、試合後、中井監督が理由を語った。

 「試してみたかった。一番しんどいときにベンチを見て『自分に投げさせろ』という顔をしていた。いい度胸をしている」

 高尾も「緊張はなかった」と言った。

 最初の打者を一ゴロに打ち取って1死満塁。続く相手の3番・谷昂之介には、初球の直球を右前へ運ばれ、2点を勝ち越された。さらに4番・金田恭汰には右越えの三塁打を浴び、この回計4失点。

 「力んでしまい、球が浮いてしまった」と高尾。六回は三者凡退に打ち取り、この回限りで降板した。

 福岡県粕屋町出身の高尾は「レベルが高い中で頑張ってみたかった」と広陵へやってきた。

 173センチ、73キロの体格から、最速143キロの直球と鋭いスライダーを制球良く投げ込む。目標とする投手は山本由伸(オリックス)だという。

 入学からわずか2カ月。この大会から背番号1をつけることになった。

 広陵は強打を発揮して昨秋の明治神宮大会で準優勝し、今春の選抜大会ではベスト16。投手陣は甲子園でエースナンバーを背負った右腕の森山陽一朗(3年)を始め、左右で異なるタイプがそろって層は厚い。

 それでも中井監督は、高尾を抜擢(ばってき)した理由を「実力なので」と言い切る。

 「3年生が認めている。紅白戦や打撃練習をして(広陵のレギュラー陣が)一番打てない投手が高尾だった」

 背番号1を手にした高尾は「最初はびっくりした」と言うが、すぐに思い直した。

 「緊張したらプレッシャーに負ける。背番号を気にせず自分の投球をするだけ」

 エースとしての公式戦デビューは、5日にあった準決勝の大東(島根)戦だった。

 先発し、力強い直球を軸にして3回を被安打1の無失点で抑えた。

 中井監督が評価するのが低めへの制球力だ。ここぞの場面で、ストライクゾーンの低めぎりぎりに投げ込める。そこに1年生右腕の強みを感じている。

 一方で、高尾に背番号1を与えたことには、上級生の奮起を促す意味合いもあるという。

 「上級生の投手たちに『悔しくないんか?頑張れよ』と。付き合ってきた年数が違うし、3年生がかわいいのは当たり前のこと」

 高尾はチーム内で最も投げづらい打者に4番の左打者、内海優太(3年)を挙げる。その内海は「球の切れがずば抜けていて、1年生だけど年上に感じるような強い気持ちを持っている」と言う。

 内海もまた、下級生の頃からマウンドに立ち続けてきた投手でもある。

 高尾の台頭については「悔しいし、(高尾は)ライバルという気持ちもある」と本音を口にする。「でも試合になれば関係なく、託したい」

 創志学園との決勝は内海が先発し、ピンチを招いて高尾に継投する形となった。

 六回、高尾が降板した直後に内海の犠飛で1点を返し、九回には1点差まで追い上げたが頂点には届かなかった。

 選抜大会後、広陵は春季県大会の初戦から中国大会準決勝まで、いずれも8点以上奪って勝ち進んできた。

 接戦は久々で、中井監督は「負けた責任は監督にある。チームの中でしっかり競争をしてもらいたい」と、夏への期待を語った。

 高尾にとっては苦い経験となった。

 「これからこういう場面も増えてくると思う。しっかり抑えられるようなピッチャーになっていきたい」

 負けん気の強そうな顔で、雪辱を誓った。(辻健治)

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