夏の高校野球地方大会 九州・沖縄の見どころを徹底解説
第104回全国高校野球選手権大会は8月6日から兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催されます。各地の大会展望をお伝えします。
■福岡
今春の選抜8強の九州国際大付と昨夏の代表校で今春の九州大会で準優勝した西日本短大付が軸になりそうだ。
九州国際大付は強力打線が持ち味。なかでも選抜で4番を打った2年生佐倉は注目の強打者だ。投手陣は緩急が持ち味のエース香西に加え、2年生の池田らが成長する。
西日本短大付は昨夏の甲子園の先発メンバー4人が残る。春の県大会、九州大会計11試合のうち8試合で3点差以内の接戦を制した。エース江川は最速145キロを誇る。
春の県大会準優勝の小倉工や昨夏準優勝の真颯館、3年ぶりに代表の座を目指す筑陽学園のほか、東海大福岡や福岡第一なども優勝争いに加わる力がある。(布田一樹)
■大分
昨秋と今春の県大会を制した明豊と、今春の選抜に出場した大分舞鶴を中心とした優勝争いが予想される。
明豊は投打ともに安定している。複数投手の継投策で結果を出しており、攻撃陣も出塁率の高い後藤を筆頭に振りが鋭い。選手層の厚さもあって夏に向けたチーム内競争が激しくなっている。
大分舞鶴は選抜後も強力打線に磨きをかけてきた。長打力のある甲斐、都甲らを中心に切れ目がない。投手陣の柱、右腕・奥本は安定しており、昨夏の大分大会でもバッテリーを組んだ捕手青柳を中心に守備も固い。
柳ケ浦や大分商などのシード校も頂点を狙える力がある。(奥正光)
■宮崎
今春の九州大会に出場した日章学園と小林西、10回目の代表を狙う日南学園の3校を軸に混戦となりそうだ。
日章学園は打撃が好調。昨秋と今春の県大会で上位に進出し、実績を積み上げて夏の第1シードをつかんだ。小林西も長打力のある選手がそろい、九州大会では大分の強豪明豊に打ち勝ち4強に入った。日南学園は今春から上り調子だ。
富島は日高、山口、都城商は宮山と140キロ台の好投手を擁する。昨秋の県大会を制した小林秀峰、今春の県大会優勝の宮崎学園、昨夏の覇者宮崎商、延岡学園、宮崎日大も優勝争いに絡む力がある。都城泉ケ丘は投打で安定し、上位をうかがう。(平塚学)
■鹿児島
大島、神村学園、鹿児島城西の3校が有力だ。
大島は昨秋の九州大会で準優勝し、選抜に出場した。選抜後の九州大会は1回戦で敗退したが、左腕エース大野は健在だ。神村学園は強打で春の県大会で頂点に立ち、九州大会も制した。絶対的エースこそいないが、投手陣も朝吹、内堀、松永と粒ぞろいで、総合力は高い。鹿児島城西は5月の県選抜大会を2年連続で制した。左横手投げの津波、長打力のある藤田、明瀬と投打に柱がおり、バランスがとれたチームだ。
3校を追うのは国分中央、昨夏代表の樟南か。鹿児島実、鹿屋中央などの強豪がシードを外れており、混戦となりそうだ。(仙崎信一)
■佐賀
混戦が予想され、優勝を狙えるチームがひしめくが、佐賀商、東明館、有田工、北陵のシード4校が中心となる。
4年ぶり17回目の全国選手権出場をめざす佐賀商は投打のバランスがいい。昨秋の県大会を制し、春の県大会でも準優勝と安定している。東明館はエースとして昨夏の甲子園のマウンドを経験した右腕今村に加え、成長著しい左腕飛松の二枚看板で連覇を狙う。春の選抜に出場した有田工は投打の軸となる塚本を中心に堅守で2季連続の出場をめざす。北陵は勢いがあり、エース真木にも注目だ。
4校を追うのは龍谷、唐津商、伊万里、伊万里実、敬徳、唐津東か。龍谷は強力な打線が魅力だ。(大村久)
■長崎
春の県大会を制した波佐見、選抜出場の長崎日大、春の県準優勝の大崎の力が伯仲し、海星、諫早農も優勝争いに絡む力がある。
波佐見はエース渡辺が急成長する。春の九州大会は準々決勝で選抜8強の九州国際大付(福岡)に0―1で敗れたものの、強打のチームを最少失点に抑えこんだ。
長崎日大は投打に充実する。コーナーを巧みに突く種村を筆頭に投手層が厚く、河村、白川ら中軸には長打力がある。大崎も有力だ。春の県決勝は延長12回、1―2で惜敗したが、近年は常に上位に食い込む安定感がある。
海星は大差をひっくり返す爆発力を備え、諫早農は堅守に定評がある。(三沢敦)
■熊本
激戦が予想される。中止の一昨年を挟んで3連覇を狙う熊本工は実力があるが、昨秋と今春、5月のRKK旗争奪選抜ではいずれも県準優勝に終わった。それぞれで優勝した秀岳館、九州学院、東海大星翔などがしのぎを削る。
熊本工は高い出塁率を誇る前高を筆頭に、切れ目ない打線が持ち味。エース松波は直球に力がある。秀岳館は速球派の山内、制球力のある巨瀬の両投手を、2人の捕手が引っ張る。九州学院は今春の県決勝で10―8と熊本工に打ち勝った。村上友、村上慶らが打線の軸で、選手層も厚い。東海大星翔は下位打線にも長打があり、投手陣も豊富だ。
熊本学園大付、文徳、専大玉名、熊本商が4校を追う。(杉浦奈実)
■沖縄
興南、沖縄水産、沖縄尚学が優勝争いの中心となる。
興南は新型コロナの影響で春の県大会を辞退したが、層が厚く総合力は高い。昨秋の九州大会では、エース格の右腕生盛(せいもり)を故障で欠くなか、現2年生の左腕・平山が好投して8強入りした。打線も禰覇(ねは)、盛島らに破壊力がある。
春の県優勝の沖縄水産は打力に自信を持つ。川端、吉元と出塁率の高い1、2番が好機をつくる。昨夏代表の沖縄尚学はエース吉山が春の県準決勝で無安打無得点試合を達成するなど、投手力が高い。
3校を追うのは春の県4強の前原、宮古か。具志川商、ウェルネス沖縄、未来沖縄も上位候補だ。(酒瀬川亮介)