浦和学院、九国大付を破り4強入り 準決勝の相手は近江
【埼玉】浦和学院(さいたま市緑区)、7年ぶりの4強進出。28日にあった第94回選抜高等学校野球大会の準々決勝で、昨秋の九州大会を制した九州国際大付(福岡)を6―3で破った。3―3の同点に追いつかれた直後の八回裏、4番打者・鍋倉和弘選手(3年)の3点本塁打で勝ち越した。森大監督は前監督で父の士(おさむ)さんが、就任後初めて選抜大会に出場した1992年の成績に並んだ。準決勝は、30日午前11時の第1試合で近江(滋賀)と戦う。
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接戦を打開する道は、長打力にあり。浦和学院の森大監督は4強に終わった昨秋の関東大会の後、選手にこう説いてきたという。
迎えた選抜の準々決勝、成長を試す場が来た。1―1で迎えた六回裏の1死無走者。2番打者の伊丹一博選手(3年)は、監督にこうささやかれた。「こんな時こそ、1本の長打だよ」
フルカウントからの8球目。相手左腕の内角低めに入った直球を腕をたたんで振り抜いた。ボールは左翼のポールに直撃する本塁打。「飛距離は『入ったな』と思った。冬場の成果が出た」と喜んだ。
昨秋の県大会では、4番打者だった伊丹選手。長打力に加えてバントや逆方向に打てる器用さを買われ、今大会から2番になった。昨秋から就任し、「超攻撃型野球」を掲げる森監督は伊丹選手を「最強の2番打者」に育てようとした。
新たに4番に座った鍋倉和弘選手(3年)の存在も、伊丹選手の励みになった。どちらかの調子が悪い時には動画を撮って教えるなど、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。
八回表に再び同点にされたが、直後の攻撃で今度は鍋倉選手が右翼のポール際に3点本塁打。2人で5打点を稼いだ。森監督は「当てにいかずによく振り抜いた」とたたえた。この試合までに出た5本の本塁打のうち4本が浦和学院の選手のもの。「超攻撃型野球」が甲子園で花開いている。(仙道洸)