157センチの二塁手、市和歌山を象徴 力ではなくしっかりコツコツ
(27日、第94回選抜高等学校野球大会2回戦、市和歌山2-1明秀日立)
第94回選抜高校野球大会は27日、市和歌山が2―1で明秀日立(茨城)にサヨナラ勝ちして8強入りした。しっかり守り、コツコツつないで攻める「スモールベースボール」のチーム。小柄ながら攻守で光る二塁手の堀畑樹(いつき)選手(3年)はその象徴だ。
1点を追う六回1死一塁。堀畑選手はファウルで粘った後、高めの直球をたたき右前安打にした。好機を広げ、同点につなげた。
身長157センチと、今大会の選手で最も小柄だ。力勝負では不利なため、自身の役割を考えてきた。
打撃では、打ち上げないようボールの上をたたく練習を徹底。バントやヒットエンドランなど確実に走者を送る「最低限」の仕事を常に心がけ、不動の2番になった。初戦の花巻東(岩手)戦ではバントの構えを見せて相手の暴投を誘い、三塁走者を生還させた。
「守備は一番」とチームメートは口をそろえる。ノックでは小さなトレーニング用グラブを使い、個人練習では硬球より弾むテニスボールを壁に当て、イレギュラーバウンドに対応できるよう鍛えてきた。
そんな堀畑選手の日課は、練習後に30分かけてグラブを磨き上げることだ。練習には必ずピカピカのグラブで臨む。「自分のテンションを上げたい」からだという。その姿を見てきた母の春奈さん(42)は「ピンチの場面でも慌てず、安心して見ていられる」と話す。
堅実で丁寧な姿勢は、今年の市和歌山の野球を象徴している。
そろってドラフト1位でプロ入りした小園健太投手(DeNA)と松川虎生捕手(ロッテ)のバッテリーを擁した昨年春の成績を超えた。準々決勝の相手は優勝候補の大阪桐蔭。堀畑選手は「強い相手だけど、しっかり僕たちの野球をやれば勝てると思う」と話した。(國方萌乃、仙道洸)