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「それが一番、甲子園のいいところ」 選手も感じた戻りつつある日常

2022年3月27日15時43分

朝日新聞DIGITAL

 試合を見ながら、無意識のうちに指で机をたたき、リズムを刻んでいる自分がいた。

 27日の第1試合。一塁側アルプス席では星稜(石川)の黄、三塁側では大垣日大(岐阜)のピンクのメガホンが揺れる。

 花が咲いたかのような景色からブラスバンドの音が響き、選手たちの背中を押す。

 ブラスバンドの入場は1校50人まで、との制限はあるものの、本塁後方の記者席に座る我々にも生演奏の迫力は伝わってくる。

 2020年、高校野球も新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けた。

 第92回選抜大会も第102回全国選手権大会も中止を余儀なくされ、8月に選抜に出場予定だった32校による交流試合が無観客で行われた。

 翌春の選抜は観客数の上限は1万人だった。吹奏楽の演奏は禁じられ、録音が流れた。

 5カ月後の夏の全国選手権は、在校生や保護者ら学校関係者に限って入場を認め、吹奏楽部も1校50人までならアルプス席へ入れた。しかし、感染状況が悪化し、大会途中で吹奏楽部員や一般の生徒らは来場できなくなった。

 地域によって多少の差はあるものの、地方の大会でも応援活動は制限されてきた。

 20年の春に入学した今の3年生たちはそんな環境のなかでプレーしてきた。

 「自分たちが入ってきたころから応援はなかった。アルプス席からの演奏でテンションが上がった。それが一番、甲子園のいいところだと思っている。ブラスバンドがあった方が、野球も楽しい」

 高知の谷崎陽(あき)主将が1回戦を勝った後に残したこの言葉は、多くの高校球児やファンに共通する感想だろう。

 もう一つ、コロナ前の甲子園を思い起こさせるものがある。

 27日は「まん延防止等重点措置」の解除にともなって2万人としてきた観客数の上限が撤廃され、アルプス席への入場も1校あたり1800人から3千人に緩和されてから初めての日曜日だった。

 午前8時の開門直後、コンコースからスタンドに出て、グラウンドのそばに駆けるように向かう男の子がいた。

 後を追う父親の方を振り向き、ニコッと音が聞こえてきそうな笑顔を浮かべる。

 その表情に、見ているこちらまで明るい気持ちになった。

 観衆は第1試合が1万3千人、第2試合は1万2千人。

 感染症対策経費などのため入場料が値上げされ、販売方法も異なるため単純比較はできないものの、コロナ前は3万人を超えることが珍しくなかった。

 ファンが戻った、とまでは言えないのかもしれないが、球場内を歩いていても、行き交う人たちの様子や表情に活気を感じる。

 むろん、コロナ禍は続いている。

 この日の第3試合は、複数の陽性者が出た広島商が辞退して、大阪桐蔭の不戦勝となった。

 京都国際も集団感染が起き、開幕を目前に出場を辞退せざるを得なかった。

 選手や関係者がどれだけ厳格な予防策を講じていても、新型コロナを完全に防ぐことはまだ難しい。

 声を出す応援はできず、観客もベンチの控え選手もマスク姿。コンコースのいたる所に消毒液が設置されている。

 コロナ前にはなかった風景は残るものの、球場にいてしみじみと感じる。

 やっぱり、甲子園で高校野球を見られる日常っていいなあ、と。(松沢憲司)

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