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甲子園、先輩たちと一緒に コロナ禍で無念、プレートに刻んだ名前

2022年3月22日21時39分

朝日新聞DIGITAL

 (22日、第94回選抜高等学校野球大会1回戦、国学院久我山4-2有田工)

 春の甲子園初出場の有田工(佐賀)が初戦に臨んだ22日。梅崎信司監督が球場に持ち込んだものがあった。昨春卒業した野球部員19人の名前が記されたプレート。「最後の夏」に甲子園を目指すことすらかなわなかった世代が製作し、寄贈してくれたベンチに取り付けてあったものだ。

 2020年5月20日。新型コロナウイルスの第1波が広がる中、夏の選手権大会の中止が決まった。当時主将だった前田航希さん(19)は「地元の高校で甲子園に行くという夢がなくなり、きつかった」と振り返る。

 「3年生に何を言えるのか」。言葉を探しながらグラウンドに向かったという梅崎監督は、自身の体験をたどり、語った。

 プロ野球選手をめざしていた大学時代、練習中に球が当たって右目がほとんど見えなくなったこと。絶望の中、高校時代に知り合った広島カープのスカウトの故・宮川孝雄さんから「指導者になれ」と言われ、教員を志したこと。「プロの夢は断たれたが教員になり、野球に携わっている。けがのお陰で、良かったと思える人生になっている」。部員たちに向き合い、語りかけた。「3年間やってきた練習はうそじゃない。甲子園が中止になったからこそ、今の人生があると思い出してほしい」

 プレートには19人の名前と、梅崎監督が部員たちに贈った言葉が刻まれている。「人生の本舞台は常に将来に在り ~コロナ禍に耐えた誇りを胸に~」。最初の一文は、プロ野球選手になる夢をあきらめて教員の道を選んだ時、母校・佐賀東の先輩で、現埼玉西武ライオンズ監督の辻発彦さんから贈られた色紙に書いてあった言葉。続けて自分の言葉を添えた。

 梅崎監督は、現役の部員たちにいつも「好きな野球ができることに日々感謝しなさい」と指導してきた。「今のチームだけでなし得た甲子園ではない。先輩たちからの積み重ねがあってこそ。最後の夏に甲子園をめざすことすらかなわなかった彼らの悔しさが少しでも報われればうれしい」と語る。

 この日、試合に臨んだ3年生は当時の先輩たちの悔し涙を見ている。試合には敗れたものの、上原風雅主将(3年)は3安打の活躍。試合後、「先輩たちへの感謝の思いを忘れずに打席に立った。必ず夏に戻ってきたい」と話した。(大村久)

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