和歌山東の勝因は「目先の変化」 智弁も下した継投の妙 高嶋仁の目
(19日、第94回選抜高等学校野球大会1回戦、和歌山東8-2倉敷工)
和歌山東の勝因は麻田一誠(いっせい)投手のピッチングと、得意の継投に尽きます。
右横手投げの麻田投手は、小さい腕の振りからスナップを利かせて投げるので、球が打者の手元でピュッと伸びたり、沈んだりします。
制球力もあり、バント処理などのセンスもいい。打者にとってはやっかいなタイプです。
その麻田投手が試合をつくり、ピンチになると左投手で目先を変える。この継投が絶妙です。
昨秋の和歌山県大会準決勝で、夏の甲子園で優勝した智弁和歌山を5―4で破ったときもこの継投がはまりました。
米原寿秀監督(47)は以前、県和歌山商を率いていました。智弁和歌山とは学校が近いので、よく練習試合もしました。
その時その時のメンバーに合わせて、上手にチームを作る監督さんです。それだけに、甲子園に出て欲しい、甲子園で勝って欲しい人でした。
甲子園初勝利、ぼくもうれしいです。おめでとうございます。
ただ、攻撃面では反省も残ります。振り返ると、一番確実に得点できた場面は、一回の無死一、三塁でした。ぼくなら、スクイズで1点をとりにいきます。簡単に決められたはずです。
先手をとれば、さらに1死二塁から、もう1点をとれた可能性もある。そうすれば、自分たちのペースで試合を進められたと思います。
無死から、スクイズを仕掛けていいんです。大事なのは大切な1点1点を、確実にとること。そうやって試合の流れを相手に渡さないようにするのが、とくに甲子園では大切になります。
倉敷工の高山侑大(ゆうと)投手も身長182センチの長身から切れのいいボールを内外角に投げ込んで粘投しました。延長十一回は不運な安打もあって大量失点しましたが、内野手のキビキビした動きなどに伝統校らしさを感じました。(前・智弁和歌山監督)