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天理の「あの春」 30年前の星稜戦を振り返る

2022年3月18日10時00分

朝日新聞DIGITAL

 第94回選抜高校野球大会が18日に開幕する。奈良県勢で唯一出場する天理は第4日の21日、星稜(石川)と戦う予定だ。両校の対戦は選抜では30年ぶり2度目。前回の1992年は、巨人やヤンキースなどで活躍した松井秀喜さんを擁する星稜に、天理が5―1と逆転勝ち。初めて選抜の4強に入った。当時の指導者や球児たちに「あの春」を振り返ってもらった。

 天理の監督は島幹典(もとのり)さん。当時34歳。現在は天理中学校の校長先生だ。監督には前年の夏に就任したばかりだった。8月末に秋の県予選シード校を決める秋季地区別大会があり、天理は桜井商に0―11とコールド負けした。

 選手たちの目の色が変わった。主将の峯岡格(いたる)さんが中心になって各チームの戦力を分析し、必死で課題克服に取り組んだ。「試合ごとに成長していきました」と島さん。秋の県予選で優勝し、近畿大会も制した。

 そして迎えた第64回の選抜大会。初戦の米子商(鳥取)戦は小さなエース西岡修二さんが被安打3、無四球の好投で1―0と完封勝ち。2回戦は3―2で広島商を下した。中2日で星稜との準々決勝に臨むことになった。

 星稜の主将だった松井さんはこの大会から甲子園の「ラッキーゾーン」が撤去されたにもかかわらず、2試合で3本塁打。2発を放り込んだ初戦の宮古(岩手)戦を報じる「日刊スポーツ」に、初めて「ゴジラ松井」の見出しが躍った。左のエース山口哲治さんも好調で、2回戦の堀越(東京)戦は被安打4、10奪三振で完封していた。

 大一番の星稜戦に向け、島さんは西岡さんに「松井はストライクゾーンの球は全部打つ。きわどいところを突こう」。また試合前日、巨人や中日などで活躍したOBの鈴木康友さんから宿舎に電話があった。山口投手への対策として、島さんに「ヘルメットを深くかぶって、(視界に入らない)高い球は見逃した方がいいですね」と助言した。

 4月4日、決戦が始まった。天理の捕手の中村秀典さんは「みんなの表情から、緊張してるのがわかりました」と振り返る。二回表、先に1点を奪われたが、その後は両エースがともに無失点。八回裏の天理の攻撃を迎えた。

 先頭の9番福田敏久さん、1番小寺一真さんが続けて四球。無死一、二塁で2番峯岡さん。「相手の方が力は上。普通にやってたらひっくり返せん」との思いがあった。右打席に向かいながら「バスターでいく」と決めた。

 サインは送りバント。でも峯岡さんは強気を崩さなかった。初球。バントの構えから打ちに出て、外角球をおっつけた。「先っちょでしたけど、打ったら抜けるってとこに飛びました」

 打球は一、二塁間を抜け、福田さんが同点のホームを踏む。峯岡さんは送球間に二進した。三塁側、天理のアルプススタンドから「わっしょい、わっしょい」の大合唱が響いた。

 1死二、三塁になり、4番大西聡さんは三塁前へ詰まったゴロ。俊足の小寺さんがホームへ駆け出す。三塁手の松井さんは小寺さんに気を取られ、エラー。天理が2―1と勝ち越した。

 わっしょい、わっしょい。もう止まらない。5番山本裕樹さんが右打席へ。初球の内角カーブをたたいた。打球は左翼ポールを巻いてスタンドイン。5―1となり、天理が勝った。

 西岡さんが低めを突き、四つの併殺を奪ったのが大きかった。2打数1安打2四球の松井さんは試合直後、「何度もチャンスがあったのに、どれもゲッツーで終わらせてしまった。天理は粘り強さを持っていました」と話している。

 天理は準決勝で東海大相模(神奈川)に敗退。夏も甲子園で8強入りした。コールド負けで始まったチームは、大きく羽ばたいた。

 さあ、選抜ではあの春以来の星稜戦。島さんは「常にチャレンジャーの気持ちを忘れないように」。中村さんは「お互いに力のあるチームだと思う。結果は別にして、いい試合を」と話した。そして峯岡さんは「練習通り試合に臨んでほしい。それができれば悔いも残らない」と、後輩たちにエールを送った。(浅田朋範)

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