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勉強と両立、大分舞鶴の答え 練習短くても食べて鍛えて自信をつけて

2022年3月13日09時15分

朝日新聞DIGITAL

 「英語できた?」「数学は難しかった」。そんな会話をしながら、制服姿の選手たちが放課後の部室へ入っていった。

 数分後、ユニホームに着替えて出てくると表情が変わる。全員が駆け足で練習へ向かった。

 2月22日。別府湾から強風が吹き付けるなか、大分市にある大分舞鶴高の野球部グラウンドは久々に活気づいていた。この日は、4日間にわたる学年末テストの最終日だった。

 県内屈指の県立の進学校のため、テストの1週間前から部活は制限される。創部71年目にして初の甲子園出場を決めた野球部も例外ではない。13日ぶりの全体練習が始まった。

 選抜開幕まで1カ月を切り、ライバル校の多くは猛練習中だ。だが、主将の甲斐京司朗(3年)は平然と言った。「勉強も大切なので、僕たちにとってはこの生活が当たり前なんです」。テスト期間中も放課後に10分間だけキャッチボールが認められ、「それだけでもうれしかった」と笑った。

■1日米5合 ピーマンもよけない

 ふだんの練習は平日2時間で、土日は4時間。34人の部員を三つの班に分け、15分単位のローテーションでノック、打撃、バントを行うなど工夫する。なかでも、力を入れているのが「体づくり」だ。この日のメニューも、下半身や腹筋、背筋を鍛えるトレーニングが中心だった。

 転機は、2020年8月の河室聖司監督(57)の就任だった。それまでは技術の向上に重点を置いていたが、「技術よりも体力」と監督。09年から5年間、県高野連理事長として全国の強豪校を目の当たりにした経験から、「打たないと勝てない。そのためには体力、パワーが必要だ」と感じたからだ。

 トレーナーを週に1回呼び、主に冬場にやっていた体力トレーニングを年間通じて行うようにした。月に1回は県栄養士会による食事指導も実施、選手個々の食事メニューも見直した。練習の中身も、7割が体づくりを兼ねた打撃練習に変わった。

 効果はてきめん。3番打者の都甲(とごう)陽希(はるき)(3年)は栄養士から緑黄色野菜を取るように指導を受け、苦手なピーマンも食べるようになった。筋トレも毎日欠かさず、入学時に55キロだった体重は2年足らずで67キロに。「打球が飛ぶようになって、安打が増えた」。チーム平均でも体重が5キロ以上増えた。

 4番の甲斐も、昨春から1日に米5合を平らげるようになった。夕食は丼飯を食べた後に、ラーメンか雑炊で締めるのが日課に。「筋肉がついて、パワーだけでなく足も速くなったんです」。むちむちの太ももをさすり、誇らしげだ。

■九州大会直前に模試

 選手個々の能力が上がると、結果もついてくる。昨春の県大会で30年ぶりに優勝し、夏の大分大会は準優勝。甲子園まであと一歩に迫った。代替わりした秋も5試合で計44得点と打線が爆発し、県で準優勝した。

 精神的にもたくましくなった。秋の大分商との準々決勝は九回2死から3点を奪い、逆転サヨナラ勝ち。九州大会では、1回戦で準優勝した大島(鹿児島)に再試合の末に2―3で敗れたが、引き分けた最初の試合は九回2死から追いついてみせた。河室監督も「着実に力はついている。どんな展開でもあきらめず、堂々とプレーできるようになった」と手応えをつかむ。

 悲願だった甲子園は「文武両道」も評価され、21世紀枠での出場だ。

 部員全員が大学進学をめざし、九州大会1回戦の2日前には、鹿児島市内の宿舎で模擬試験を全員で受け、周囲を驚かせた。練習試合に向かうバスの中で英単語帳を広げる選手もいる。

 甲斐は言う。「それが僕たちのやり方。勉強との両立や、練習時間が短くてもやれるところを全国の高校球児に見せたい」。全国優勝経験もあるラグビー部からも刺激を受けている。「次は僕たちの番。負けられない」。舞鶴魂を胸に、全力スイングで挑む。(学年は新学年)(山口裕起)

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