大阪桐蔭・松尾、2試合連続HR 京都国際の友人たちに届ける優勝
(31日、第94回選抜高等学校野球大会 決勝、近江1-18大阪桐蔭)
圧倒的な攻撃力を見せた大阪桐蔭の中軸で捕手の松尾汐恩(しおん)選手(3年)は、開幕直前で出場辞退した京都国際の友人たちの思いも背負ってプレーした。
決勝の三回、松尾選手が振り抜いた打球は、左翼席へ飛び込む2点本塁打となった。前日に続いて2試合連続の本塁打だ。
松尾選手を鍛えたのは、中学時代に所属した京都府京田辺市の硬式野球チーム。そこでしのぎを削ったのが、京都国際の岩内琉貴也(るきや)選手(3年)だ。
別の中学だったが、グラウンドを離れても互いの家を行き来する仲だった。松尾選手は選抜出場が決まる前に帰省した際、「また(試合を)やりたいな」と言葉を交わしたという。
京都国際にはほかにも、辻井心(じん)主将(3年)や森下瑠大(りゅうだい)選手(3年)ら、京都府選抜の仲間もいる。
その京都国際が、新型コロナの集団感染で開幕予定前日に出場辞退になった。
大阪桐蔭の選手は寮にスマートフォンなどを持ち込めないが、松尾選手の母・美和さん(43)には、京都国際の選手の母親たちから、逆に励ましのメッセージが次々と届いた。
「頑張れー 琉貴也、桐蔭の試合だけ、テレビにかぶりついて観てる」「瑠大もTVの前から応援してはった 元気も、やる気ももらったと思うわ」「私も桐蔭の試合楽しみにしてる!」
美和さんは「汐恩もみんなのためにも日本一にならないと、と思っていたようです」と話した。
2回戦の相手だった広島商も、コロナ感染で辞退した。大阪桐蔭の西谷浩一監督が「野球をやらせてもらうことが当たり前じゃない」と話した大会。松尾選手は試合後の記者会見で「試合ができていることに感謝しています」と、表情を崩すことなく話した。(松永和彦)