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辞退の経験、忘れず伝えたい コロナの影響を受けた高校野球

2021年12月29日11時00分 朝日新聞デジタル

 「2年ぶりの甲子園」。そんな合言葉が聞かれた2021年の高校野球は、新型コロナの感染拡大と隣り合わせでもあった。試合ができずに大会辞退となる例も相次いだ。7月の神奈川大会では3校が辞退となった。春の選抜大会で優勝した東海大相模も、準々決勝当日に登録選手17人の新型コロナ陽性が発表され不戦敗に。甲子園春夏連覇はかなわなかった。

 城郷も大会途中で辞退となった。3回戦の前日に学校関係者の新型コロナ陽性が判明。学校の判断で濃厚接触者の調査が終わるまで対外活動が禁止になった。3回戦当日、部員たちは学校や保健所から結果連絡があればすぐに試合ができるよう、ユニホームに着替えて球場近くで連絡を待ったが、間に合わなかった。午前10時の試合開始を前に、球場から対戦相手の鎌倉学園の不戦勝を知らせるアナウンスが聞こえてきた。

 主将だった細谷岳澄(がくと)さんら城郷の3年生16人は「強豪私学にどれだけ戦えるか」と練習に励んできたが、その場は目の前で消えた。一方でこの日は城郷のサッカー部も、全国高校選手権県予選で鎌倉学園と対戦する予定だった。この試合は翌日に延期となり、濃厚接触者の調査が終わったため試合ができた。結局、野球部内にも感染者はいなかった。野球部の小池健一監督は「こんなことってあるんだな」と言葉を失ったという。

 数日後、細谷さんの携帯に、野球部の顧問から電話があった。「鎌倉学園から試合の申し込みがあった。参加したい人は明日集まってくれ」。「正直、みんなふてくされていた」と細谷さん。再試合のことを仲間と話したがすぐには喜べなかった。「もういいよ」「行く? 行かないでしょ」と仲間と言い合った。だが、不戦敗の日からグラブやスパイクを入れたままの野球バッグを見ると、答えは一つだった。翌日のミーティングには、3年生全員が集まっていた。

 約1週間、練習や練習試合を積み、決勝が行われた保土ケ谷球場で、ベストメンバーを組んだ鎌倉学園に挑んだ。結果は昨秋の関東大会8強の強豪に七回コールド負け。部員からは「鎌倉学園が本気で試合をしてくれて勝負を楽しめた」「協力してくれた人たちのおかげで受験勉強に切り替えられた」と感謝の言葉があった。その一方で、「大会のときの感覚に戻すのは難しかった」「もし辞退した日に試合ができてたら、違う結果だったかも」と複雑な気持ちも湧いていた。

 「僕たち3年生は、絶対にしない方がいい経験をした」と細谷さんは振り返る。今でも大会で試合ができていたらと想像する。春からは大学に進み、将来は教員になって経験を伝えていきたいという。「コロナ以外でも、どんな理由で大会に出られなくなるかはわからない。誰も同じような経験をしてほしくないし、忘れずに伝えていけばルールも変わるかもしれないじゃないですか」

 投手の球数制限を設けたり、休養日を増やしたり、大会では毎年のようにルールが検討されてきた。2年ぶりに大会が開催できたことで、また新しい課題も見えたように思う。(黒田陸離)

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