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3人の同好会、翌年には部員31人に 高校女子野球のブームと課題

2021年12月12日12時26分 朝日新聞デジタル

 男子は野球、女子はソフトボール――。そんな慣習が変わりつつある。この夏、女子硬式野球の全国大会決勝が、初めて甲子園で開催され、静岡県内の高校にも女子硬式野球部の創部が相次ぐ。女子野球は、長い高校野球の歴史に新たなページを加えるか。(山崎琢也)

 「ナイバッチ!」「いいよーレフト!」

 11月下旬、東海大静岡翔洋高(静岡市清水区)のグラウンドには明るい声が響いていた。声の主は女子選手たち。県内で初めて創部された女子硬式野球部だ。

 同校に女子野球部が出来たのは今年4月。創部のきっかけは、弓桁義雄監督が抱いた「このままでは県内の女子野球は衰退する」という危機感だ。

 野球に興味を持って始めた選手が、中学、高校と上がるにつれプレー環境がなくなり、他競技に転向したり、マネジャーの道を選んだりする姿を目にしてきた。「女子選手の受け皿を作りたい」という弓桁監督の申し出に村上英治校長も賛成し、つてを頼って選手に声をかけ、入学した3人の同好会として2020年から活動を始めた。

 1期生として入部した斉藤美咲主将(2年)は、元々マネジャー志望だった。父や弟が野球をしていたこともあり「自分もやりたい」と思ったが、プレーできるチームがなく、中学で「似ていると思った」ソフトボール部に入った。高校では選手ではなく男子野球部のマネジャーになって甲子園を一緒に目指そうと公立高への入学を考えていた。

 そんな中、降ってわいた野球ができるチャンス。「部員が集まるか不安もあり悩んだ。でも創部に関われる機会はないと思って、野球をやる道を選んだ」と話す。

 入学後、基礎練習や体力作りに取り組みながら、SNSや説明会などで情報発信し、部員集めに奔走した。

 その成果もあり、今春に選手26人とマネジャー2人の1年生が入部。総勢31人になり、部として活動を始めた。弓桁監督も「こんなに人が集まるとは正直驚いたが、競技の場を求めている選手がこれだけいるんだと改めて確信した」と話す。

 目標は「笑顔で日本一」。中学から硬式野球を続ける選手も、高校から始めた選手も楽しみながら練習に励んでいる。「礼儀やあいさつはしっかり指導するが、選手が楽しく出来ない練習はしない」と弓桁監督。野球を楽しみ、そして楽しい野球の先に勝利がある、選手たちにそう感じて欲しいからだという。

 同校に続き、県内では静清(藤枝市)とオイスカ(浜松市)が22年4月にそれぞれ創部を予定するなど高校での女子野球部創部の動きもあり、弓桁監督は「県内の学校が増えれば練習試合が組みやすくなり、選手の活動の場も広がる。切磋琢磨(せっさたくま)して盛り上げていきたい」と歓迎する。

 歩み出した県内の女子高校野球だが、いまだ発展途上だ。全日本女子野球連盟によると、軟式を含めた全国での女子のプレー人口は推定で約2万1千人。高校の硬式野球だけでも13万人以上の競技人口がいる男子に比べ、はるかに少ない。「裾野を広げて選手を増やさないと、創部する学校が増えても少ないパイを奪い合う結果にしかならない。競技人口の底上げが必要だ」と弓桁監督は言う。

■同じルールと球場「プレーには無理がある」

 女子の競技の障壁になっているのが独自ルールの不在。球場の広さや塁間の長さ、バットの規格など、あらゆるルールが男子と同じだ。「一般的に男子より身長が低い女子が、同じ重さ・長さのバットを振り、同じ広さの球場でプレーするのはどうしても無理がある」。競技人口が増えることで「女子野球の形が出来て、ふさわしいルールができるのでは」と期待を寄せる。女子野球の選択肢があることを知らずに野球をやめてしまう選手もおり、競技の知名度不足も課題だ。

 今年は全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝が、初めて阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれ、話題を呼んだ。弓桁監督は、選手が夢見た舞台で試合が行われたことには意義があるとしたうえで、こう語る。「話題になったが、ブームで終わらせてはいけない。いかに競技として定着させられるか、ここからが本当の挑戦」

     ◇

 静清では男女共学化に伴い、女子硬式野球部を発足させる。監督に就任するのは女子プロ野球で内野手として活躍し、昨年4月から同校に赴任した岩見香枝教諭(28)。「野球だけに没頭するのでなく、野球を通して社会で通用するような生徒を育てたい」と意気込む。

 すでに十数人の選手が関心を持っているといい、1年目からの公式戦参加も視野に入る。一方で「一気に強いチームを作れると思っていない」とも話す。「歴史も伝統もない新しいチームだからこそ自由に活動が出来る」と話し、「話題になるようなデビューを飾って、女子野球に興味を持つ人を増やしたい」と抱負を語った。

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