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「糖質しっかり、体力つけよう」球児に適切な食事とは? シンポ開催

2021年11月27日10時00分 朝日新聞デジタル

 高校球児にとっての食事の重要性や適切なとり方を考える、朝日新聞スポーツシンポジウム「高校野球と食事」が12日、京都市のロームシアター京都サウスホールで開かれました。長年、高校球児の食事を調査、研究してきた海老久美子・立命館大教授が糖質の大切さなどを紹介し、大リーグでもプレー経験がある上原浩治さん、藤川球児さんらが自らの経験を語り合いました。

 ■基調講演 海老久美子・立命館大教授

 1990年ごろから高校野球のチームを回って、「食事、栄養って大事だよ」ということをお話ししてきた。当時から伝えたかったのは、「食べさせられていては、強くなれない」ということです。

 高校野球の部活動の特徴は、試合時間が定まっておらず、たくさん道具を使い、やることが多く、選手の拘束時間が長いという点にあります。時間が足りず、十分な睡眠と食事の時間がとりにくい。基礎代謝量が非常に高い時期にあたり、高校球児はエネルギー不足に陥りやすいのです。

■優秀なお米 豆類と合わせたんぱく質も

 それを防ぐエネルギー源のうち、主役となるのが糖質と脂質です。特に糖質はロウソクのロウのようなもので、常に体の中に必要です。昨今、「低糖質」が言われますが、少なくとも高校球児にはしっかりとって欲しい栄養素なのです。

 糖質源として優秀なのがお米です。腹持ちがよく、ゆっくりと消化・吸収されて体に届く糖質を持っています。さらに、ほかの食品と組み合わせることによって、お米は優秀なたんぱく質源にもなる。その代表が豆類です。例えば納豆ごはんは、メカブやかつお節、ゴマなど他の栄養素と組み合わせやすい。

 ただお米に関して、「1回3合」などと指導者がノルマを課すといった話を聞くことがある。指導者の方には、「その食事を自分もおいしいと思って食べられるか」という点を覚えておいていただきたいです。

 もう一つ、提案したいのが、冬に朝ご飯をしっかりとることです。高校野球ではピークを持ってこなければいけない夏に多くの選手が体重を落としてしまう。暑い時期に今の季節以上に食欲が出る選手は少ない。この寒い時期に朝ご飯を食べることが夏の大会の対策の一つになるのです。

 (この後、立命大大学院スポーツ健康科学研究科の首藤由佳さんが、JA全農と立命大が取り組んだ「高校球児向け栄養教育プロジェクト」の研究結果を発表)

 ■パネルディスカッション

 パネルディスカッション

参加者(敬称略)

上原浩治  元プロ野球選手

藤川球児  元プロ野球選手

小倉全由  日大三高硬式野球部監督

海老久美子 立命館大学スポーツ健康科学部教授

      日本高校野球連盟理事

安藤嘉浩 朝日新聞編集委員(コーディネーター)

 ■プロの寮のご飯で増量 スタミナ源に 上原さん

 安藤 上原さん、藤川さんは高校時代、どんな食生活でしたか。

 上原 僕は体が細かったので、栄養どうこうではなく、量をたくさんとれば体が大きくなるのではないかと考えていました。好きな白米は結構、食べました。

 藤川 僕も細くて、高2で体重64キロくらい。寮に入っていたのですが、好き嫌いが多かった。苦手なものをテーブルの下に隠しては、怒られていました。

 安藤 海老先生が調査を始めた1990年代に、お二人は高校球児でした。

 海老 エネルギー源としてお米は必要ですが、その時期は食べても食べてもなかなか太れなかったと思います。ものすごく基礎代謝が高く活動量も多いので。

 藤川 投手の練習はとにかくランニング量が多く、代謝がよすぎて太れなかった。だけど、「太らなきゃいけない」と言われる。試合のための練習なのか、未来のための練習なのか、練習をこなすための体力をつけているのか。もうわかりませんでした。

 小倉 お二人とも今はすばらしい体をしている。かつて細かったのかなと思うと、やはり食事は大事だなと感じますね。

 安藤 小倉監督は寮生活を送る選手たちと一緒に食事をとっています。

 小倉 学校の生徒食堂で3食を食べますが、栄養士がいて、カロリー計算もしてくれる。監督としては何の苦労もありません。

 安藤 何か工夫などは。

 小倉 無理に食べさせることはしません。ただパワーはないといけないので、「夜はご飯3杯は食べなきゃだめだぞ」とは言います。「大盛りじゃなくていいので、一口でもいいから、3杯目をおかわりしよう」と。あとは「おなかいっぱい、楽しくおいしく、食べようよ」というのがうちの寮生活です。今はコロナ禍で黙食。また早くみんなでワイワイと食べたいですね。

 安藤 2杯プラス一口でもいいということですね。高校卒業後の経験談もお聞かせください。上原さんは1年浪人しています。

 上原 予備校で午前9時から午後4時まで勉強して、その後に息抜きもかねてウェートトレーニングをした。大学で球速が上がったのは、トレーニングの成果だったと思います。体づくりの大事さには気づけたが、まだ栄養については全く考えていませんでした。

 安藤 プロ1年目でいきなり20勝しました。

 上原 プロには体の大きい人はいっぱいいた。自分は細かったけど、2月のキャンプから、3~4カ月で8キロ太りました。それがよかった。自分のスタミナ源みたいな感じで、すごくプラスに働いたと思います。

 安藤 意識して増やしたのですか。

 上原 いえ、寮のご飯がおいしかった。6品目も7品目もあった。関西はあまり納豆というイメージがありませんが、寮に入ってすごく食べるようになった。寮を出た後、2年目、3年目はけがをした。「これじゃだめ」と栄養士と話をするようになった。

 安藤 藤川さんもプロで最初は寮生活ですよね。

■野村監督から「細い」と叱られ食指導 藤川さん

 藤川 18歳で入団したので基礎代謝がすごく高かった。1年目のオフ、若手主体の秋のリーグ戦を当時の野村克也監督が見にきました。僕は相手をすごく抑えたんですが、監督に呼ばれ、「お前は何でそんなに細いんだ」と報道陣の前で叱られました。それからチームのルールが変わり、25歳以下の夕食時間が50分以上と決められたのです。

 野村監督は細かった僕を使って食事の大切さを伝えた。僕は「野球って投げて抑えればいいんでしょう」と思っていたが、そうじゃない。体力がめちゃくちゃ必要だった。好き嫌いもあって、とにかく座りなさいというのは苦しかったけど、今は感謝です。食事の大切さを教わった。

 安藤 海老先生、代謝の面で注意すべきことなどはありますか。

 海老 代謝が高い時期の選手に対し、例えばもう1本走らせるのか、休ませて食べさせるのか、優先順位をつけて考えなければと思います。エネルギーが足りなくなると体に不調が起きる可能性が高くなり、それがけがの原因につながることもあるからです。

■箸の動きや食べ方で選手の体調判断 小倉さん

 小倉 自分も若い頃は「やれ、やれ」でしたが、いまは選手がゼイゼイ言って走っていると、「ぶっ倒れるんじゃないか」と心配の方が先に来る。食事も朝から一緒に食べているので、選手の箸の動きを見て「きょうは何か調子が悪いのかな」と感じられる。この年になって、選手の動きや食べ方を見て判断できるようになってきたんだなと感じています。

 安藤 アメリカでの経験も教えてください。

 上原 レッドソックスはシェフが日本人だったのですごく恵まれていた。球場におにぎりが50個ぐらいいつも置いてあって。ほかの3チームでは野菜や肉などあるものでどうにかしていました。

 藤川 僕はプロテインを飲んで、チキンとサラダを食べてとアメリカ人と同じ食事をした。でも、体が動かなかった。日本に帰って2年目にあえて白米の量を増やしてみた。すると、基礎体力ができて成績がグッと上がった。アメリカの選手のまねをすれば筋肉は簡単につきますが、筋肉がすべてではなかった。

 安藤 メッセージをお願いします。

 小倉 自分はやはり野球って楽しいんだということを子どもたちに伝えたい。努力して力が伸びた自分を見て本当の楽しさは感じられる。食事もおいしく食べて、それが自分の身になるのだと、そういうことを伝えていきたいと思います。

 うえはら・こうじ 1975年生まれ、大阪府出身。大阪・東海大仰星高から大阪体育大をへて98年秋のドラフト1位で巨人入団。1年目にリーグ最多20勝。大リーグ・レッドソックス時代には抑えとしてワールドシリーズ制覇に貢献。18年に巨人に復帰した。

 ふじかわ・きゅうじ 1980年生まれ、高知県出身。高知商高2年夏に甲子園に出場し、98年秋のドラフト1位で阪神へ。05年は80試合に登板してリーグ優勝に貢献。13年から大リーグ・カブスなどに所属。16年に阪神復帰。日米通算245セーブ。

 おぐら・まさよし 1957年生まれ、千葉県出身。東京・日大三高硬式野球部監督、社会科教諭。日大三の選手時代は内野手。日大卒業後、東京・関東一高で監督を務め、97年から現職。01、11年に夏の甲子園で優勝した。

 主催 朝日新聞社

後援 日本高等学校野球連盟

協力 全国農業協同組合連合会

 この特集は山口裕起が担当しました。

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