日大三島バッテリーのうまさ 九州国際大付の強打かわす 高嶋仁の目
日大三島のバッテリーは素晴らしいですね。九州国際大付の強力打線に、気持ちよくバットを振らせませんでした。
松永陽登(はると)君の球速は130キロぐらい。ストライクになる直球はほとんど投げませんでした。うまくタイミングをずらし、打者の手元で微妙に変化させる。8回を投げて90球ですから、いかにピッチングがうまかったか。1年生捕手の野田優磨君のリードもよかったということです。
三回に高めに浮いた球を本塁打されたのが決勝点になりましたが、これは打った大島諄士(あつし)君がうまかったです。しっかり引きつけて完璧にとらえました。
日大三島はバックも堅実な守備で、松永君を支えました。就任から1年半でこれだけのチームに仕上げた永田裕治監督はさすがです。報徳学園の監督だった頃から交流がありました。熱い人です。野球に対しては妥協しません。
日大三島の選手を見ていると、よく考えて野球をしていると感じます。永田監督がうまく指導されているんでしょう。打席でも狙い球をしっかり絞っている。打者の意図が明確なんです。三回、池口奏君の同点犠飛も、コースに逆らわずに左方向へ流し打ちました。犠飛を打つ理想的な打撃でした。
ただ、それ以降は得点できませんでした。九州国際大付の左腕・香西一希君もまた、素晴らしい投球をしたからです。前半は高めのボール球を振らせ、後半は低めに落ちる球で三振をとりました。見事な球の切れと制球力でした。
打ち合いもできるし、投手戦もできる。九州国際大付は力があると感じます。大阪桐蔭との準決勝は、どんな試合になるでしょう。楽しみにしております。(前・智弁和歌山監督)