大島がベスト4、選抜引き寄せる 興南に勝利 九州地区高校野球
大島がベスト4進出――。鹿児島市で開かれている九州地区高校野球大会(九州地区高野連主催、朝日新聞社など後援)の準々決勝で、大島が3―0で興南(沖縄1位)を破った。来春の選抜大会出場を大きく引き寄せる勝利で、正式に決まれば2014年の21世紀枠以来となる。準決勝は11日、有田工(佐賀2位)と戦う。
■興南0―3大島
大島が序盤の集中打で流れをつかんだ。三回、大野の右前適時打で先制すると、武田、中も適時打を放ち3点を挙げた。先発大野は緩急を使った投球で興南打線を散発6安打に抑えて完封した。守りは序盤に2失策がありながらも、随所で好プレーを見せた。
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あと154球と球数制限が迫る中でのプレーボール。大島の大野稼頭央投手(2年)は緩急を使った新スタイルで相手を完封した。
大会では「1週間500球以内」という球数制限がある。初戦の大分舞鶴には勝ったものの、延長十回引き分けと再試合の2試合で計346球を投じていた。
本来は速球主体のスタイルが持ち味だが、「序盤は球数を意識した」。制球を重視し90~100キロ台の変化球を多投。最速146キロの直球も130キロ台にセーブ。「思ったより興南打線が早打ちしてくれた」こともあり、流れに乗った。
九回、最後の打者を三振に仕留めると両手を挙げて喜びを表現した。奪った三振はわずか2。仲間の守りを信じて投げ続けたことが、センバツに大きく近づく勝利につながった。
球数は計467球。「次は野手として投手を助けたい」。目標の準決勝進出を成し遂げたエースは、安堵(あんど)の表情を浮かべた。(仙崎信一)
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大島・塗木哲哉監督 九州大会の準決勝に行けたことがうれしい。バッテリーと野手が一つひとつのアウトを積み重ねたのが勝因。
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大島・武田涼雅主将 勝ててうれしい。これで満足せずに次の試合も勝って、優勝して甲子園(選抜大会)に行きたい。
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大島の三塁側スタンドは準決勝進出を後押ししようと、平日にもかかわらず大勢の人たちが応援に訪れた。奄美市の大島高校からは吹奏楽部やダンス部など約40人が駆けつけた。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から声を出しての応援は禁じられている。スタンドでは吹奏楽部の演奏や太鼓の音に合わせて手をたたいたり、ペットボトルで作った鳴り物を打ち鳴らしたりしてグラウンドの選手を励ました。
大島の選手たちは「島の人たちの応援が力になった」と口々に話した。