群馬県勢2校、4強進出ならず 秋季関東高校野球
第74回秋季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催)は2日、茨城県内の2球場で準々決勝4試合があった。桐生第一(群馬1位)は浦和学院(埼玉1位)に0―5で、健大高崎(群馬2位)は明秀日立(茨城1位)に4―11でそれぞれ敗れ、来春の選抜大会出場が有力となる4強入りを果たせなかった。県勢は姿を消した。
■桐生第一0―5浦和学院(埼玉)
桐生第一は再三得点圏に走者を進めながら、好機にあと一本が出ず、最後まで本塁に届かなかった。特に一回2死一、二塁など序盤の得点機を生かせず、主導権をつかめなかったことが響いた。先発した背番号18の寺門は毎回のように走者を背負いながらも粘りの投球をみせ、5回1失点と役割を果たした。一方、1回戦で好救援をみせたエース北村は、4失点と本来の投球ができなかった。
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0―1で迎えた六回裏。「頼むぞ北村」という声を受けながら、桐生第一のエース北村流音(りお、2年)がマウンドに上がった。
「勝てば選抜というプレッシャーがあって、緊張していた」。先頭打者に中前安打を許し、慌てた。次打者への初球は暴投。内野ゴロに打ちとったが、続く打者を四球で歩かせ、その後2本の適時打やスクイズなどで4点を失った。
最速145キロの右腕。2日前の1回戦では3―2の六回途中から登板し、3回3分の1を無失点。群馬県予選では準々決勝の前橋育英戦、準決勝の前橋商戦を1人で投げ抜き、エースとして優勝に貢献した。
だが県予選後、右胸骨の疲労骨折が判明。関東大会には間に合ったが、状態は良くなかった。北村はそれを言い訳にせず「自分が冷静になるべきだった」。夏を見据え、投球面に加えて精神面での成長を誓った。(中村瞬)
■明秀日立(茨城)11―4健大高崎
健大高崎は16安打を浴びて力負けした。変化球の良い右腕井上聖が先発し、相手の目先を狂わせたかったが、二回に4長短打を許して3失点。四回から救援したエース加藤も勢いを止められなかった。県大会で光った堅守も明秀日立の鋭い打球に対応しきれず、計6失策。打線は四回に清水が放った本塁打から流れを引き戻したが、九回の守りでミスが絡んで大量失点し、突き放された。
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捕手としての悔しさをバットにぶつけた。
健大高崎の清水叶人は四回1死、「相手は直球が多い投手なので狙った」。2ボールからの直球を振り抜き、右中間席へ反撃の一発。先頭で打席に入った七回も、3得点の口火となる一塁内野安打を放った。
思うようにいかない試合だった。明秀日立の打線は「思っていたよりも、どんどん振ってきて、すごかった」。甘い球は逃してくれない。打者の内角を大胆に突こうとも思ったが「投手が投げきれるか分からない」と、捕手として攻めのリードができなかった。
青柳博文監督が「この代では(全国でも)トップクラスの捕手」と評する扇の要。強肩強打でチームを引っ張るが、この日は九回に自らの失策も絡んで失点した。試合後は「打撃では一発で仕留める力、捕手としては投手との会話を増やして、もっと心を通じ合わせたい」と前を向いた。(山口史朗)