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小森航大郎内野手、宇部工初のプロへ 4位指名のヤクルトが来校

2021年10月17日09時30分

朝日新聞DIGITAL

 プロ野球ドラフト会議でヤクルトスワローズから4位指名を受けた宇部工の小森航大郎(こうたろう)内野手(3年)が16日、同校で球団から指名のあいさつを受けた。小森内野手は「謙虚にひたむきに泥臭く今まで通り野球に向き合って一つ一つランクを上げていく。1番ショートで勝負でき、山口の誇りだなと言ってもらえる選手になりたい」と意気込んだ。山口県内の高卒プロは11年ぶり。創立100周年の同校初のプロ入りとなる。

 山口市出身。2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝でのイチロー選手の決勝打を見たのがきっかけでプロ野球選手を夢みた。小学校で野球を始め、高校進学先は「来いや!」と気を吐いて1球に食らいつく宇部工の先輩のノックを見てここでプレーしたいと思った。当時の監督、藤島俊成・現下関工科部長もプロへの夢を真っ正面から受け止め、「一緒に目指そう」と言ってくれた。

 自宅から学校までは鉄道と自転車を乗り継ぎ1時間半。朝は始発、夜は午後10時半までグラウンドに残った。「寮生活を送る選手と同じくらい練習できるように」と、ほとんど毎日母が迎えに来てくれた。「きつい顔をせず、いつも笑顔で応援してくれた。原動力になっていた」

 どんなときもひたむきで謙虚。チームの誰もがその努力と人間性を認める。大谷亮真主将(2年)は「ミスを切り替えられずに態度に出てしまったとき、真っすぐチームに謝れる。素直に受け止める人が成長すると教えてもらった」。軟式チームから一緒にプレーしてきた境陵翔(りくと)君(2年)は、小森内野手に誘われて同校入学を決めた。「いつも明るくて好きなんですよ。特別な選手じゃなく、できるまで繰り返し努力し続けてきた人。自分たちも頑張らないとと思う」

 だからこそ、小森内野手の夢はチームの夢だった。斉藤翔和君(3年)は「甲子園に行って、小森の夢に近づけてあげることが目標だった。本当にうれしい」。波多重成君(3年)は「人一倍努力する姿を見てきた。指名されて安心した。誇らしい」と喜ぶ。

 172センチ、83キロ。高校での公式戦通算打率は5割1分4厘だ。ヤクルトの担当者は「右打ちの内野手はチームで希少性が高い。足の速さとパワフルな打撃はもちろん評価しているが、リーダーシップや野球に取り組む姿勢もチームに良い影響を与える」。

 誰も見ていなくてもゴミを拾い、校内のトイレのスリッパをそろえ直す。浅原充監督は小森内野手について、「前に出るスピードは想像を絶するものがある」と評する。しかし、それに勝る強みは「地味な練習も意識を高く持って取り組むことができるひたむきさ」。「野球界にとって大きな存在になり得る、それほどの人間だと思っています」と話す。

 「いろんな方に支えられてここまで来られた。力の無い自分を呼んでくれた球団やファンに、指名して良かったと言ってもらえるよう、一日一日を死にものぐるいで戦う決意ができた」と小森内野手。目指すのは、幼いときに見たイチロー選手のように「子どもたちに野球ってすごいと思ってもらえるような、夢を与えられる選手」だ。(寺島笑花、高橋豪)

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