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ドラフト候補・森木へ馬淵節エール 「ええかっこしい」が諸刃の剣に

2021年10月8日08時00分

朝日新聞DIGITAL

 最速154キロ。高知高の右腕、森木大智は世代ナンバーワンと評され、10月11日のドラフト会議では注目を集める投手の1人だ。

 森木は強力なライバルに阻まれ、一度も甲子園の土を踏むことができなかった。

 しかし、ライバルがいたからこそ、より力をつけられた3年間でもあった。

 中学3年のころに軟式球で150キロを計測して全国優勝した。

 「5回、甲子園に行く」

 そう言って鳴り物入りで高校球界に飛び込んできた。森木の前に立ちはだかったのが、明徳義塾だ。高1の夏と高3の夏、いずれも高知大会決勝でぶつかった。

 1年夏は三回から救援し、7イニングを投げて3失点。打撃では本塁打も放ったが、1―4で屈した。今夏は先発して8回3失点と粘ったが、最後は力尽きて3―5で敗れた。

 「打倒・明徳」を掲げるなか、敵将の馬淵史郎監督(65)の存在も大きかった。「ひと言で言うと、嫌らしい人だった」。そう苦笑いを浮かべる。

 試合中はマウンド上から、相手ベンチの馬淵監督の動きを観察していたという。「変な動きをしているなとか、馬淵さんをけっこう見ていました」

 それでも、バントを決められたり、ボール球を見極められたり。警戒しすぎて、制球が乱れて自滅したこともあり、「それも含めてすごい人だと感じた」。

 初めて話しかけられた時のことも覚えている。今年4月に対戦した後、帰りの車に乗り込む直前に、声をかけられた。

 「秋(2年秋)の方がよかったぞ」

 「そうですか。ありがとうございます」

 とっさにそう返したが、内心は悔しかった。「『これが馬淵節か。ちくしょー。夏に見返してやる』と思っていました」

 夢の舞台には届かなかったが、森木はいまこう思う。

 「明徳は強敵というか嫌な相手だった。でも、自分が成長していく過程のなかで、必要な存在だったのかな」

 甲子園通算で50勝以上を積み重ねてきた馬淵監督もまた「今年のチームは森木に育ててもらった。森木の存在が成長させてくれた」と言う。

 高知を破って出場した今夏の全国選手権大会では次々に好投手を攻略して8強まで進んだ。2回戦では最速157キロを誇る右腕、風間球打(きゅうた)を擁する明桜(秋田)も破った。

 「今年は明桜とやれてうれしかった。157キロの風間が森木の延長線上にあった」

 馬淵監督は高校日本代表の監督も務めており、国際大会があれば森木を選ぶつもりだったという。「完成度が非常に高く、色んな球種が投げられるし、フォーム的にも欠点がない。絶対勝たないかんというときは、森木を使うよ」

 森木はいま、ドラフトで自分の名前が呼ばれる場面を想像しながら、「毎日ソワソワして過ごしている」という。

 12球団すべてのスカウトとの面談も終えた。引退後も練習を続け、右ひじを高くするようフォームの改善にも取り組んでいる。

 「苦しい3年間だったけど、明徳との対戦も含めて野球の厳しさを学べた。この経験をプロの世界で生かして、日本を代表するような大きな選手になりたい。160キロも投げたい」

 馬淵監督からは注文もついた。

 「メンタルを鍛えろと言いたい。ええかっこしいやから、プロ向きではある。でも、ええカッコしいやから、付け入る隙があるわけよ」

 そう言って笑い、続けた。

「森木は高知の宝ですから。頑張ってほしい」(山口裕起、安藤嘉浩)

     ◇

 もりき・だいち 高知県土佐市出身。野球を始めた小学3年のころは「球が速すぎて、僕の球をとれる捕手がいなかった」との理由で最初は捕手をしていた。小4から投手になり、高知中3年時に春夏の全国大会で優勝。高知高では1年春からベンチ入り。打撃も得意で高校通算13本塁打を放った。184センチ、87キロ。右投げ右打ち。

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