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智弁和歌山、築き上げた堅守 「そんなん知らん」が契機

2021年8月29日21時06分

 (29日、高校野球選手権大会決勝 智弁和歌山9-2智弁学園)

 九回裏の守備に向かった智弁和歌山の内野手たちが、次々に片ひざをついた。手のひらで丁寧に土をならし、定位置に就く。グラウンドが荒れるたびに繰り返し行われた、大会を通じての光景だ。二塁手の大仲勝海は言った。「打球が跳ねないでくれよ、という思いを込めてやっています」

 中盤、2点リードのまま試合は膠着(こうちゃく)した。五回、先頭の二遊間へのゴロを遊撃手の大西拓磨が素早くさばいた。先頭を出した六回は三ゴロをきっちりと併殺にした。無失策の守りで流れを渡さず、終盤の追加点へとつなげていった。

 今春、コロナ禍で練習も対外試合も制限された。和歌山では4月中旬から5月まで対外試合は公式戦しか認められなかった。例年なら県外の強豪校と対戦を重ねる6月も途中まで県内の高校同士の練習試合しかできなかった。

 伝統的に強打のイメージが強いチームだが、打者が打席での経験を十分に積むには過酷な環境だった。中谷仁(じん)監督(42)は腹をくくった。「この夏はいかに守れるかが鍵になる」

 2018年夏、中谷監督は、40年近くチームを率いた前監督の高嶋仁(ひとし)さん(75)からチームを引き継いだ。自身も1997年の選手権大会で主将として優勝し、卒業後はプロ野球の世界へ。野球は熟知しているはずだった。

 だが、思うようにいかない。「高嶋先生の背中を追ってばかりいた」。試合で敗れるたびに、高嶋さんへ電話した。返ってくる言葉はいつも、「そんなん知らん」。

 「『好きなようにやれ』ということなんだと、気づきました」。これまでのチームづくりの手順が通じないなか、築き上げた堅守だった。

 和歌山大会5試合での失策は4、今大会4試合(不戦勝を除く)での失策は2。深紅の大優勝旗を手にした主将の宮坂厚希は誇らしげに言った。「僕たちがめざしてきた守り勝つ野球ができました」

 選手たちの真っ黒な手のひらが智弁和歌山の新しい色を、物語っていた。(山口裕起)

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