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過酷だった甲子園、前向けば人生変わる 荒木大輔さん

2021年8月30日06時45分

 これまで多くのゲストに甲子園球場にお招きし、熱戦をご覧いただきました。今夏の球児らへのメッセージとともに、「観戦記」の一部を再びお届けいたします。

■荒木大輔さん(日本ハム投手コーチ)

 新型コロナと長雨の影響で、かつてない過酷な大会になりました。一般のお客さんのいない甲子園は寂しかったでしょう。皆さんにはさせたくない苦労でした。

 でも、厳しい体験をするほど、仲間との絆、支えてくれた方々への感謝の気持ちは、より強くなったのではないでしょうか。己の不運を嘆かず、人と違った経験ができたと少しでも前向きに考えられるかで、今後の人生が大きく変わってくると私は思います。

     ◇

(1998年8月22日 第80回大会 横浜3-0京都成章)

 ダイスケに声援を送りながら、京都成章も応援していた。

 今大会、14人いた大輔君たちの活躍を楽しみにしていた。だれか最後まで残ってもらいたいとずっと思っていた。横浜の松坂君は、PL学園、明徳義塾とすごい試合を勝ち抜き、18年前のぼくと同じように決勝(1980年、第62回大会の横浜―早稲田実)のマウンドに立っている。前日、アルプス席でぼくの名をつけてくれた松坂君のお母さんにもあいさつした。だから照れくさい気持ちもあるが、本当にうれしい。

 無欲でここまで勝ち進んだ京都成章は、当時の早稲田実によく似ている。ぼくらは、相手校には申し訳ないが、くじ運に恵まれた感じはしていた。

 決勝といえば、キャンディーズ。試合前の打撃練習中に流れていた曲だった。それまで甲子園で守備練習はしていても、バッティングはできなかった。決勝進出チームだけに与えられる特権。

 小さいころ、神宮球場にプロ野球を見にいった。いまもそうだが、試合前の打撃練習は音楽を流しながらやっている。それが記憶にあって「いま、ぼくらはキャンディーズを聞きながら甲子園にいる」と思うと、偉くなった気分になった。一番、楽しい思い出として残っている。

 ダイスケ、もしかしたら狙っているかもしれないな。無安打無得点試合を。ぼくは、春夏5回も甲子園を経験したが、そんなこと一度も思ったことがない。特に1年生での決勝は、ただチームが勝てばいいと、それだけを思っていた。

 ぼくはストレートを待たれてまっすぐを投げたら打たれるピッチャー。松坂君はストレートを狙われてもファウルにできる。かわさないといけなかったぼくとは大違いですよ。

 プロ野球の解説をしていても、本当のところマウンドにいる投手の心理なんてわかるわけがない。マウンドでなければ感じないものは必ずある。たとえ見た目では直球が走っていなくても、自分では調子いいと思うような時が。

 もう、最終回。最後はストレートで三振を取りにいくかなあ。ぼくは最後までストレートにこだわった。プロ野球の引退試合で、最後の打者はストレートで三振を取った。

 2アウト。ボールカウント2―2。ぼくだったらストレート。うぁ、変化球。三振。でもあの時と同じ歓声だ。甲子園の風景は、ちっとも変わっていない。

 松坂大輔。18年後は、荒木ではなく松坂君にあやかって名付けられたダイスケがきっとマウンドにいることでしょう。=抜粋

     ◇

 あらき・だいすけ プロ野球日本ハム投手コーチ。1964年、東京都生まれ。57歳。80年の第62回大会に早稲田実の1年生投手として出場、決勝で横浜に敗れる。以降、春夏5季連続で甲子園に出場した。82年秋のドラフト1位でヤクルトに入団し、横浜を経て96年に引退した。野球評論家や西武、ヤクルトでのコーチを経て、18年からは日本ハムで指導する。

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