夏の甲子園 三重、終盤に追い上げ 8強入り果たせず
2021年8月25日09時00分 朝日新聞デジタル
大会第11日の24日、三重は3回戦で、打力を誇る敦賀気比(福井)と熱戦を繰り広げた。序盤に6点を奪われ、苦しい展開に。それでも食らいつき、七回に1点を返し、さらに八回には2点本塁打でのぞみをつなげた。だが、九回に3点差を縮められず、8強入りを前に惜しくも敗れた。
◇
「なんとか塁に出て流れを変えよう」。6点を追う七回表1死の場面で、7番打者の宝田裕椰君(3年)に打席が回ってきた。
初球、内角へのスライダーを思いきりバットでたたくと、打球は鋭く左前へ。続く藤井勇斗君(2年)の左前安打で進塁し、敵失に乗じて本塁を突いた。
「どんどん行けるぞ」。チーム初得点を挙げると、そう自分を鼓舞した。
1年生の秋からレギュラーに定着。ノックを受けるために並んでいるときは、球を受けている人の動きに合わせ、自らも1歩踏み出す。待ち時間も工夫して練習時間として使った。
自主練習の時間は、そのほとんどを守備練習に費やした。ノックや、転がしたボールを素手で取るような基本的な練習を反復する。約100球が入っているかごを用意し、「3ケース分のノックをやる」と決め、集中して取り組んだ。
こうして磨き上げた堅い守備は、甲子園でも随所で光った。グラブで一度はじいてしまった打球を焦らずゴロに打ち取ったり、素早くベースカバーに入ってアウトを取ったりした。
この日は打撃でも活躍を見せ、4打数4安打。「なんとしても塁に出たいという気持ちが大きくて、体が勝手に動いていた」。詰まった当たりになっても、ヘッドスライディングで果敢に一塁に滑り込んだ。
「全て出し切った。自分らしく泥臭いプレーができた」。試合後のユニホームは、あこがれだった甲子園の土で汚れていた。(岡田真実)