寮のルームメート2人が同点劇を演出 神戸国際大付
2021年8月23日07時56分 朝日新聞デジタル
(22日、高校野球選手権大会 神戸国際大付4-3高川学園)
1点を追う七回裏の神戸国際大付。1年の入寮時からずっとルームメートの2人が、それぞれの仕事をきっちりこなして同点に追いつき、勝ち越しにつなげた。
まずは途中出場の関悠人(はると)君(3年)。無死二塁の場面で、フルカウントから送りバントを決め、走者を三塁に進めた。そして「勝負強いアイツなら打ってくれるはず」。次の打者を信じて、疑わなかった。
打席には、代打の勝木力輝斗(りきと)君(3年)。「関が仕事を果たしてくれた。やってやるぞ」
2ストライクから、4球目。外角直球をしっかり芯で捉えると、快音が響いた。打球は相手投手のグラブをはじき、同点となる中前適時打。ベンチの関君は鳥肌が立ったという。
「『同部屋魂』の仲」。2人は、こう呼び合う関係だ。部員約50人が生活する寮では、2人の入寮後4回ほど部屋換えがあった。2人だけは、なぜか、ずっと同じ部屋が続いている。
「背番号8を背負って甲子園に臨めるのは力輝斗のおかげ」。関君は言う。投手として入部したが、1年秋に野手転向を打診された。悩んでいた時に決断できたのは、勝木君が相談に乗ってくれて背中を押してくれたからだった。
勝木君もまた、関君に励まされてきた。昨冬、思うようなスイングができず、思い悩んで部屋で涙した。「関は黙って部屋を出て行ってくれて……。すごく、ありがたかった」。守備のミスが不安だと漏らした兵庫大会決勝前も、「エラーしてもいいからって、思い切ってやってみたら」と勇気づけてくれた。
今大会期間中は神戸市内の宿舎に入っているが、2人はここでも同部屋。「明日頑張ろうな」「絶対打てよ」。この試合の前夜も互いを鼓舞し合った。
勝木君は七回裏、阪上翔也君(3年)の適時打で生還し、決勝のホームを踏んだ。ベンチで一番に迎えたのは、もちろん関君。「よう打った」と相棒をたたえた。「力輝斗の活躍は自分のことのようにうれしい」
「同部屋魂」の絆が勝利を呼び込み、神戸国際大付が3回戦に駒を進めた。(西田有里)