石見智翠館・宮本が勝ち越し2ラン 現校名で初の夏勝利
2021年8月21日11時34分 朝日新聞デジタル
(21日、高校野球選手権大会 石見智翠館4-3弘前学院聖愛)
石見智翠館は三回に同点に追いついてから、なかなか弘前学院聖愛のエース葛西倖生(こうせい)を打ち崩せない。
同点で迎えた八回、先頭打者の岡田優駿が右前安打で出塁した。4番の上(かみ)翔曳(しょうえい)が犠打で進塁させて作った、1死二塁の好機。5番・宮本赳希(たけき)が気合が入らないわけがなかった。
「自分が絶対に、岡田を本塁にかえす」
2球目。ひざ元に入ってきた変化球をすくい上げた。打球は上がり、ぐんぐんのびて左翼席へ。右手でガッツポーズをしながら、満面の笑みでダイヤモンドを一周。この試合のヒーローになった瞬間だった。
身長176センチ、体重87キロの恵まれた体格で長打を量産していた主軸だが、今夏の島根大会では、出場はゼロ。手の骨折の影響でベンチから仲間の活躍を見守っていた。
久しぶりの公式戦。今夏初めての試合で、豪快な一振りで、その力を存分に見せた。「みんなが立たせてくれた甲子園。1本が出せてうれしい」。夏の甲子園でチーム18年ぶりの勝利は、「江の川」から校名が変わって初めての勝利になった。(高橋健人)
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石見智翠館のエース山崎琢磨は一回に2失点しても落ち着いていた。
「四球はもったいない。バッターとしっかり勝負しよう」
安打は許しても、四死球で余計な走者を出したのは一度だけ。二回以降は八回まで「0」を並べ、反撃を待った。
九回、1点差に迫られ、なお1死一、二塁のピンチでも「野手を信じ、打たせてとる」。この日の投球を支えたカットボールで投ゴロ併殺打。2009年に「江の川」から今の校名になって初めての甲子園勝利を手にした。