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「大阪桐蔭のエースとは」 問い続ける松浦が示した背中

2021年8月17日13時40分 朝日新聞デジタル

 (17日、高校野球選手権大会 大阪桐蔭7-4東海大菅生)

 大きな雨粒の先で、白球がバットの上を通過した。大阪桐蔭の松浦慶斗は、ふうっとほっぺを膨らませると、拳を握りながらマウンドを駆け下りた。「粘って粘って、気持ちで投げました」

 球は荒れた。試合が進むにつれ雨が強まっていく。七回。二塁打を3本浴び、四球を二つ与えた。3点を失って1点差となり、なお2死二、三塁。ここで4番小池祐吏を迎えたが、エースの表情は変わらない。冷静さも失わず、タイムをとってタオルで指先を拭く。フルカウントからの7球目。ど真ん中の136キロで、三振に切ってのけた。

 今春の選抜。松浦は智弁学園(奈良)との初戦に先発し、4回4失点でKOされた。春の府大会はベンチから外され、チームが優勝した近畿大会も登板はなかった。「情けない。俺はなにをしているんだ」。冗談好きでチームの盛り上げ役なのに、口数は減った。

 そんな時、寮の部屋の机の上に飾ってあるボールが目に入った。そこには油性ペンで「桐蔭の『1』に相応(ふさわ)しい選手になってほしい」と書かれていた。

 春夏の甲子園で8度の優勝を誇るチームには、数年前から歴代エースが引退時にボールにメッセージを書き込み、それを受け継ぐ、という伝統がある。昨年はコロナ禍で春夏の甲子園大会が中止。一つ上の先輩から託された言葉は、弱気になった心を奮い立たせてくれた。チームが試合をしている間も学校のグラウンドに残り、1人で走り、投げ込んだ。

 最速150キロの球威が戻り、夏に1番を奪い返した左腕はこの日、伝統のボールをバッグに忍ばせた。甲子園に到着すると、バスの中でもう一度、手にした。

 7回4失点。マウンドがぬかるんでも、手元が滑っても、時に帽子を飛ばしながら腕を振った。「投球でも背中でもチームを引っ張る。それが桐蔭のエース」。118球に、思いを込めた。(山口裕起)

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