馬淵監督「名将対決?僕は迷将」 明徳が県岐阜商に勝利
2021年8月15日19時08分 朝日新聞デジタル
(15日、高校野球選手権大会 明徳義塾3-2県岐阜商)
ベテラン監督同士の注目の一戦は、サヨナラで決着した。
第103回全国高校野球選手権大会第3日(8月15日)の第2試合、明徳義塾―県岐阜商は、3―2で明徳義塾が競り勝った。同点の九回、3番の森松幸亮が中越えに鮮やかなサヨナラ二塁打を放った。
試合後、両チームの監督はそれぞれの味を出して、激戦を振り返った。
勝った明徳義塾の馬淵史郎監督は65歳。この日の勝利で、監督として春夏の甲子園通算52勝目となった。
「30年やそこらやってれば、こうなります。選手に感謝。監督の勝利じゃない。歴代の選手の力」
六回、1点を先制されなお無死三塁で、エース左腕・代木大和に代えて、変則的な横手投げ左腕の吉村優聖歩(ゆうせふ)をマウンドへ送った。これが当たって追加点を許さなかった。
「吉村は度胸ある。『低めで打たせてとれ』と言った。期待通りです。辛抱の試合でしたが、ああいう形が、明徳のペースかなと思います」
「甲子園で聞く校歌は感無量ですね。卒業生も聞いているのではないでしょうか」
相手の県岐阜商の鍛治舎巧監督は70歳になった。秀岳館(熊本)を3季連続で甲子園4強に導くなど、監督として実績十分だ。
馬淵監督について、悔しそうに言った。
「最近、確率の高い野球をしているなと。早い回に盗塁もしない、誘い球は打ちにこない。だから、『ゾーンで勝負するように』とは言ってたんですが。やはり四球がきいた。選んで選んで、選び抜かれて負けた」
「50勝の監督だけあって、確率の高い野球に変わってきたのかなと。その意味ではやりにくくなかったが、ストライクで攻めていれば……。でも、よくあそこ(六回のチャンス)で、吉村くんに代えたなと思います」と驚いてもいた。
名将対決? 会見で、そんな振りをされた馬淵監督は、笑って答えた。
「あちらは名将、僕はあえて言うなら迷将。胸を借りてやらせてもらった。大先輩とやるのは甲子園でもなかなかなくてね」と謙遜していた。