愛される石見智翠館の球児 コンビニ店員も態度に感心
2021年8月14日13時45分 朝日新聞デジタル
島根代表として、大会第7日(19日予定)に初戦を迎える石見智翠館。普段から選手たちを温かく見守り、甲子園での活躍を願う地元の人々を紹介する。(榊原織和)
■「ローソン・ポプラ江津渡津町店」の従業員、岩本品子さんと坂本多美子さん
ほとんどが寮生活を送る部員たちにとって、息抜きの場所でもあるのが、学校から300メートルほど離れた国道9号沿いのコンビニだ。
部員たちを「自分の子どもみたいにかわいい」と話す岩本さんと坂本さん。店に来ると、まず大きな声であいさつ。重い物を運ぼうとすると「僕やります」と代わってくれ、レジ待ちの客には順番を譲る。
気遣いや優しさに感心しているが、「いつもはおばちゃんと呼ばれるけど、何かお願いがあるときだけ『お姉さん!』になる」と笑う。
「一番はけがをしないように、精いっぱいがんばってほしい」と2人は口をそろえた。
■JR江津駅の加藤正己駅長(60)
学校最寄りのJR江津駅で、選手たちは月2回ほどの清掃活動をしている。
朝、学校が始まる前に掃除道具を持って訪れ、駅前でたばこの吸い殻や菓子の包み紙を拾い、待合室を掃き清める。互いに声を掛け合い、明るく掃除してくれるという。
乗客が来ると立ち止まって一礼し、あいさつする姿に「知らない人にあいさつなんて、なかなかできない。お互いに気持ちがいい」と加藤さん。島根大会での優勝が決まったとき、うれしくて甲子園の試合を全力で応援しようと思ったといい、駅に出場を祝う懸垂幕を掲げ、部には激励の硬球を贈った。
「コロナ禍にめげず、島根代表として自分たちの野球を貫いてほしい」
■石見智翠館高校職員の大島愛子さん(39)
島根大会で初めて選手たちのプレーを見て、普段の「やんちゃ坊主」とは違う姿に感嘆した。「勇敢でした。15歳で親元を離れ、覚悟をもって来た子たちなんだと改めて思った」
事務の仕事のほか、昼は購買で販売もする。昼食を食べたあとの部員たちが毎日のように来て、学校の話題などを「しゃべり倒していく」(大島さん)といい、4月から同校に勤め始めた大島さんにとって、部員たちとの時間は学校になじむきっかけにもなった。
「絶対甲子園に行くからな」ともずっと言われてきたといい、「毎日泥だらけのユニホームを自分で洗って、有言実行した彼らは本当にすごい。一瞬一瞬を大切に目に焼き付けて、甲子園で応援します」。