スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

被災した2人の再会の物語 東北学院、甲子園で初勝利

2021年8月12日05時45分 朝日新聞デジタル

 (11日、高校野球選手権大会 東北学院5-3愛工大名電)

 「甲子園、いつか行けたらいいね」。東日本大震災で被災した2人が、その後、別々の道を歩みながらも、東北学院(宮城)の野球部で再会した。エース伊東大夢君(3年)と中軸の及川健成君(同)は、少年野球チーム時代に話していた夢の舞台に立ち、強豪・愛工大名電(愛知)に競り勝った。

 震災当日。仙台市立中野小1年生だった伊東君は、友だちと下校中、足元がぐらりと揺れて立っていられなくなった。揺れが収まった後、自宅にいた母・裕子さん(45)と避難場所の同小に引き返した。

 学校に着くと、すでに大津波警報が発令されていた。「屋上に上がって!」という周囲の声に押され、階段を駆け上がった。真っ黒な波が街をのみ込み、家や車を押し流す光景を見つめるほかなかった。

 同じ屋上で同じ光景を見ていたのが及川君だった。クラスメートの中でもよく一緒に遊ぶ仲良し。少年野球チーム「中野スパローズ」に入部した伊東君は、及川君の足の速さを見込み、「頼むから一緒に野球をやろうよ」と誘い続けた。

 及川君は小学3年の時に入部。自宅が全壊した伊東君は別の学校に転校していたが、2人は練習で顔を合わせ、中堅手と右翼手として野球に打ち込んだ。

 その後、伊東君は父の転勤で青森市へ。及川君はクマのぬいぐるみが好きな伊東君にテディベアを贈り、「青森でも頑張ってね」と手紙につづった。

 中学でも別の場所で野球を続けたが、くしくも、東北学院で再会した。伊東君は打撃が格段にうまくなった及川君の成長に目を見張った。打撃や投球についてアドバイスをもらうようになり、「一番長く一緒に野球をやってきた相手。自分のくせをよく分かっていて、指導者みたい」と笑う。及川君も「大夢は頼れるエース。また一緒にできるなんてうれしい」と信頼を置く。

 成長したお互いの姿に「2人でなら甲子園を目指せる」と子どもの頃の夢を思い返した。優勝候補が次々に敗退する波乱続きの宮城大会で、投打の柱としてともにチームを支え、初優勝へと導いた。

 長い間、テレビの向こうの存在だった甲子園。でも、及川君は大会前から「ちゃんとやれば(出場も)夢じゃない」と確信していた。それは確かに、信頼するお互いの存在があったからこそだ。

 この日、2人は「一発やってやろう」と声をかけあっていた。先発した伊東君は9回115球を投げ、3失点で完投。八回には相手のエース・田村俊介主将(3年)に本塁打を浴びたが、動じなかった。及川君も三回に左安打を放ち、先制に貢献した。

 試合後、取材に応じた伊東君は「及川とは名電に勝って少しでも恩返しできたら良いなと話していた。少しでも恩返しできたかな」。「2人で甲子園に行くと小さい頃から目標にしていた。2人で甲子園に立ててうれしい」とはにかんだ。夢は続く。(近藤咲子)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ