公立の商業校、10年ぶりの5校超え 今年も見えた伝統
(11日、高校野球選手権大会)
今大会は公立の商業高校が6校出場している。5校を超すのは10年ぶり。いずれも創立100年以上の伝統校だ。この日、倉敷商と高岡商がまず登場した。
全国中等学校優勝野球大会の時代も含め、選手権大会で商業高校(学校)が出場しなかった年はない。球史に刻んだ記憶も鮮烈だ。
40回大会、板東英二(徳島商)が村椿輝雄(魚津)と十八回を投げ合った。55回大会では、作新学院の江川卓を相手に銚子商が雨中の延長サヨナラ勝ち。三沢との引き分け再試合(51回)や「奇跡のバックホーム」を生んだ熊本工との決勝(78回)で有名な松山商など枚挙にいとまがない。
70回大会は出場校の3分の1近くが公立商業高だった。機動力を武器にその夏を制した広島商の「広商野球」、隣県同士の商業高がしのぎを削った「四国4商」など時代を彩る言葉も多い。その戦いぶりは、派手さや豪快さより、しぶとさが強く印象に残る。
私学強豪の台頭や進学志向の高まりもあり、78回の松山商を最後に商業高の全国制覇はない。ただ、この日敗れた倉敷商、高岡商とも大差にもあきらめず、最後まで食らいついた。培われてきた「伝統」が、そこに見えた。(山田佳毅)