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鍛治舎監督「究極の文武両道へ」 県岐阜商の時間革命

2021年8月10日09時00分 朝日新聞デジタル

 開幕が10日に順延された第103回全国高校野球選手権大会(日本高校野球連盟、朝日新聞社主催)。29回目の出場を誇る県岐阜商だが、前回出場した2012年からは、9年のブランクがある。青と黄をアクセントにした新しいユニホームで臨む、初めての夏の甲子園。そのチームづくりは、3年前の春、母校の監督に就いた鍛治舎(かじしゃ)巧(70)の問いかけから始まった。

 鍛治舎は部員に尋ねた。

 「『伝統』とは、君たちの野球のモットーとは何だ」

 「『つなぐ』ことです」

 鍛治舎は返した。

 「『つくる』ことの方が大事じゃないか。栄光とか重みとかは断ち切れ。未来をつくっていこう」。グラウンドの一塁側ベンチに長年かけられていた、過去の甲子園の戦績を記したプレートを外した。

 練習時間が限られる公立校の環境のなか、鍛治舎は「時間革命」を推し進めた。投攻守にわたる7、8種類の練習を同時並行させ、さらにあらゆる試合局面を想定した「実戦」型の練習をてきぱきとこなす。早稲田大、松下電器(現パナソニック)などでプレー、指導した経験をすべて注ぎ込み、工夫を重ねた。

 投球の回転数や伸び、バットスイングの計測器も導入した。「プレーを数値化し、目標を決めて達成していく」。岐阜大会からベンチ入りしている投手5人の球速は140キロを超え、打撃陣のスイング速度も全員が145キロ以上と、鋭さやパワーが増したという。

 伝統を「断ち切れ」と言った鍛治舎。伝統の一面でもあるプレッシャーは「古参OBの発言力が強かった時代に在学した自分が、一番知っている。伝統の強調は選手を萎縮させる」。ユニホームの変更は、監督就任の1年後に「周りの反対を承知で」進め、躍動感のある、校旗と同じ配色にしたという。部訓も新しく「自主・自立・自治」と定めた。

 今月2日にあった壮行会で、県教育長の堀貴雄は「優勝です」と具体的に目標を示し、知事古田肇も「戦後(県勢は甲子園の)決勝の惜しいところで負けている。頂点を生きている間に見たい」と熱い言葉を投げた。

 県岐阜商が挙げた甲子園での通算87勝(春48勝、夏39勝)は公立校1位。全体1位の中京大中京(愛知、136勝)など私学を含めても4位。公立では松山商、広島商、高知商、高松商と続く。

 1925年に誕生した岐阜商(当時岐阜市立、現県岐阜商)野球部は、32年春に甲子園に初出場。翌33年春に初優勝した。

 夏は36年に初出場、初優勝。戦前は春に優勝3回、夏に優勝1回、準優勝も春夏1回ずつを成し遂げ、計32勝を挙げた。

 戦後は47~59年に春夏の準優勝を2回ずつ。以後は61、64年の夏と2009年夏の準決勝進出が最高。1949年夏には岐阜も準優勝したが、戦後に県勢の優勝はない。

 プロ野球が萌芽(ほうが)した戦前、岐阜商は当時先端の東京六大学野球から選手を招いて指導を仰ぎ、中京商(現中京大中京)などと競いながら力を伸ばした。だが、戦後は私学が台頭し、有力選手の分散や勉学の強化もあって徐々に戦績を低下させた。

 4年後の2025年が「創部100年」。鍛治舎は「それまでに甲子園100勝を達成し、次の100年の土台を築く。めざすは究極の文武両道」と公言する。いつも選手に言う言葉がある。「思わないことは叶(かな)わない。結果はすべて思いの差」

 壮行会でエースの野崎慎裕(のりひろ、3年)は取材に答えて言った。「新しい取り組みのなかで自分たちは強くなった。監督と思いを合わせて全国制覇したい」=敬称略(ライター・森川洋)

 ■県岐阜商野球部の歩み

1904年 岐阜市立として学校創立

 25年  硬式野球部創部

 32年春 選抜大会に初出場

 33年春 選抜大会で初優勝

 35年春 選抜大会で優勝(2回目)

 36年夏 選手権大会に初出場、初優勝

     (優勝ナインのうち松井栄造ら5選手が戦死)

 38年夏 選手権大会で準優勝

 39年春 選抜大会で準優勝

 40年春 選抜大会で優勝(3回目)

 47年夏 選手権大会で準優勝

 56年春 選抜大会で準優勝

   夏 選手権大会で準優勝

 59年春 選抜大会で準優勝

〈戦前の名選手〉

松井栄造 春夏計4回の優勝のうち3回の優勝投手(33年春、35年春、36年夏)。早稲田大でも活躍

〈戦後の名選手〉

清沢忠彦 巧みな牽制(けんせい)球で沸かせた左腕投手(56年春夏)。慶応大―住友金属

高木守道 攻守に優れた二塁手(59年春)。プロ野球中日でも活躍

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