スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

智弁学園、準優勝の軌跡 「つなぐ野球」甲子園で体現

2021年8月31日08時47分

 第103回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)で、智弁学園は準優勝に輝いた。優勝した智弁和歌山は不戦勝などがあったため、今大会で6試合を戦ったのも勝って5回校歌を歌ったのも、智弁学園だけだ。選手らの軌跡を振り返る。

 担当記者として気になっていた選手の一人が、谷口綜大(そうた)君(3年)だ。

 昨秋の公式戦は出場したが、今春の選抜大会ではベンチ入りできなかった。どん底の気分だったが、「自分のできることをやったらいい」という父の励ましから、自分に何が足りなかったのか考えた。

 思い出したのが、1年上の先輩が街中のごみを拾う姿だった。学校の道徳教育では「徳が集まる」という言葉もある。「自分もごみを拾って徳を集めよう」

 3月、毎朝6時半から30分間、バケツと火ばさみを持って1人で学校周辺のごみを拾い始めた。ごみ拾いを続けるうちに気持ちがすっきりし、思いっきりやるだけだと開き直れた。

 プレーに影響したのか、背番号「13」で出た今夏の奈良大会は6割2分5厘と活躍。優勝に貢献した。

 甲子園は背番号「9」で挑んだ。盗塁で二塁を陥れるとベースの泥をさりげなく手で拭い、右翼の守備につくと、無人の外野席と本塁方向に深々とおじぎした。29日の決勝戦は先発出場。1打席目に適時三塁打を放ち、自身も生還しようと果敢に本塁を狙った。球審の判定はアウト。一瞬悔しそうな表情を浮かべたが、すぐにホームベース上の土を払った。

 決勝で最初の適時打を放ったのは、捕手の植垣洸(こう)君(同)だ。1回戦、死球で上あごを骨折したが、全6試合でリードした。

 二枚看板に対し、構え方は違う。西村王雅(おうが)君(同)に対しては、大きく見えるようにしゃがんで構え、小畠一心(いっしん)君(同)には小さく見えるように片ひざをついて構える。それぞれが投げやすいように、希望を聞いて採り入れた。

 新チームから正捕手になった植垣君は、1年から活躍する西村君、小畠君とバッテリーを組む。「プレッシャーでした」。捕手をやめたいと思うこともあった。決勝では「勝っても負けても今日が最後。悔いの無いボールを投げてこい」と伝えるまでになった。最後は泣き崩れ、西村君、小畠君と抱き合った。体を張って何度も球を止めた今大会、捕逸はなかった。

 6試合で25打数10安打の成績を残した森田空君(同)。今春の近畿大会の最中に、小坂将商監督が1週間、朝の練習に付き合ってくれた。その後も積み重なったアドバイスが甲子園で成果を生んだ。

 中堅手としても好守を見せた。入学してから外野手に転向した。「入ったときは、フライが捕れるか捕れないかでした」。甲子園では強肩と俊足を生かし、土の軟らかさや浜風も計算した。

 新チームを結成して最初の公式戦だった昨秋の郡山戦は辛勝。「負け試合だった」という声も聞かれた。主将の山下陽輔君(同)は「チームはバラバラだった」と振り返った。

 あれから1年。山下君は三塁から盛んにマウンドに駆け寄り、投手に声をかけた。内外野から、ベンチから、マウンドから、頻繁に声をかけ合う姿が印象的だった。

 掲げた「つなぐ野球」。準々決勝まではその力を存分に見せつけた。準決勝、決勝では打線は思うようにつながらなかったが、勝利をめざす一人ひとりの気持ちはつながっていた。一丸となって戦うチームは、どの選手も記者席から輝いて見えた。(米田千佐子)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ