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智弁和歌山、21年ぶり優勝の軌跡 伝統の強打を発揮

2021年8月31日08時43分

 熱戦が繰り広げられた第103回全国高校野球選手権大会で、智弁和歌山は21年ぶり3度目の全国制覇を果たし、新たな歴史を刻んだ。取材を続けた記者が振り返った。

 優勝から一夜明けた30日、同校吹奏楽部による応援曲「ジョックロック」の生演奏と応援団・チアリーダーの演舞による出迎えの中、選手たちは深紅の大優勝旗を掲げて堂々と学校へ凱旋(がいせん)した。

 初戦は、対戦相手の宮崎商が選手ら13人の新型コロナウイルス感染で試合辞退となり、大会史上初の不戦勝になった。長雨も絡み、和歌山大会決勝から事実上の初戦・高松商(香川)戦まで約1カ月空いた。

 ブランクが心配された。中谷仁監督も「状態が良いのか悪いのかもわからない状態」と不安を吐露したが、始まってみれば決勝を含む全試合で2桁安打を記録。投手陣もおのおの結果を出し、中でも中西聖輝君(3年)は、まさにエースといった投球内容だった。ピンチでも動じず、力のある直球とスライダー、カーブなど多彩な変化球で抑え込んだ。

 伝統の「強打」を発揮したが、長打はもちろん、巧打でつないで得点を積み重ねる展開が光った。全ての試合で先制点を奪い、優位に試合を進めた。主将で先頭打者の宮坂厚希君(3年)はともに好投手擁する準決勝の近江(滋賀)戦、決勝の智弁学園(奈良)戦でいずれも初回に二塁打で出塁。そのまま先制のホームを踏み、試合の流れをつかむ原動力となった。

 飛躍したのは2番打者の大仲勝海君(3年)。和歌山大会は不調で、勝ち越しの適時打を放った決勝戦後、うれしさから号泣した。甲子園準々決勝の石見智翠館(島根)戦で3安打2打点、決勝では4安打と大活躍。ムードメーカーがチームを勢いづけた。

 投手陣は計5投手が甲子園のマウンドに上がった。レベルの高い投手がそろう中で、切磋琢磨(せっさたくま)してここまで来た。高松商戦では九回途中まで中西君が好投したが、ピンチを背負うと伊藤大稀君(3年)が救援。1球で相手を打ち取った。決勝では逆の展開に。ピンチになった伊藤君の後を受けてマウンドに上がった中西君は、2三振でしのぐ。6回を投げ、試合を締めくくった。

 大会を通じて2失策と好守も光った。特に遊撃手の大西拓磨君(3年)はヒット性の当たりを再三好捕し、アウトにした。

 4試合で登録選手18人全員が出場を果たした。投打ともに日替わりでヒーローが生まれた。その活躍を支えたのは裏方の存在だ。自ら「引退」を名乗り出て記録員になった黒木隆成君(3年)らの綿密なデータ分析が生きた。

 今年のチームはどん底からのスタートだった。全国屈指のバッテリーを擁する市和歌山に新人戦、秋季県予選、近畿大会と3連敗し、選抜大会出場を逃した。ライバルを倒さなければ甲子園に出場すらできない。危機感の中で、チームは全国一の実力をつけた。

 昨冬、全国の高校で初めてイチローさんの指導を受け、その姿勢や言葉、技術がチームの大きな糧になった。4番の徳丸天晴君(3年)は「イチローさんでも失敗をするし、『失敗があったからこその一打がある』ことを教えてもらった」と話していた。なかなか結果が出なかったが、決勝の最終打席で、値千金の適時二塁打を放った。

 2年ぶりに開かれた夏の甲子園で、最後まで盤石に勝ち上がった。県内の高校にとっての「大きな壁」は、この1年でさらに強固となった。今年の智弁和歌山がそうだったように、県内の選手たちのさらなる飛躍を確信している。(滝沢貴大)

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