中京大中京の畔柳「プロで通用しない」 悔しさ糧に練習
(29日、高校野球愛知大会準決勝 愛工大名電3-1中京大中京)
中京大中京のエース畔柳(くろやなぎ)亨丞投手(3年)は「1球」を悔やんだ。
八回裏、四球と失策で無死満塁のピンチ。「ここを抑えて悪い流れを断ち切る」。1ストライクからの2球目。「ストライクをとろうとするあまり、球を置きにいってしまった」という直球を左前に運ばれた。適時打となり、1点を勝ち越された。これが決勝点となった。
最速152キロの直球とスライダーやカーブなど4種の変化球を操る注目の右腕。今春の選抜では4試合で2完封し、4強入りの原動力となった。
しかし、選抜準決勝の明豊(大分)戦は右ひじの違和感で途中降板した。「疲労がたまり、あれ以上投げるのは厳しかった」。力投派で、どうしても球数が増える傾向があった。夏に向けて球数を減らそうと、変化球の制球力に磨きをかけてきた。
この日は中京大中京が一回に1点を先取した。「先に点をとってくれたので自分が勢いづかせようと思うあまり力みすぎた」。ボールが先行し、7四死球を与えたが、要所を締め、なかなかホームを踏ませない。
「一番実力があり、信頼できる投手。1点を争う状況で降ろすことは考えられなかった」。そんな高橋源一郎監督の信頼にも応え続けた。
畔柳投手は「選抜とは違う負けたら終わりという夏独特の雰囲気と、(中京は)勝って当然というプレッシャーを感じた」。それでも、「エースの自分の気持ちが折れるとチームも折れてしまう。何があっても最後までマウンドに立ち続けるつもりだった」。
8回を被安打5、3失点。四、七回を除き、毎回走者を出したが、粘りの投球はみせた。「自分の力ではトップレベルの選手がそろうプロの世界ではまだまだ通用しない。この悔しさを糧に、また明日から練習です」と前を向いた。(仲川明里)