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大阪桐蔭相手に惜敗 最後の試合で見せた最高の投球

2021年7月29日17時47分 朝日新聞デジタル

 (29日、高校野球大阪大会 大阪桐蔭5-3金光大阪)

 金光大阪は初回に3点を先制したが、大阪桐蔭にじわじわと追い上げられた。リードが1点になった七回裏2死一、二塁。金光大阪の先発右腕、伊藤大貴君(3年)は打席に相手の4番を迎えていた。捕手の岸本紘一君(2年)に「自分たちが格下。気持ちで抑えよう」と声をかけられ、落ち着けた。

 「デッドボールになってもいい。力いっぱい腕を振ろう」。声をあげて投げた渾身(こんしん)の直球は打ち上げられ、左飛に。思わずガッツポーズが出た。

 伊藤君は昨夏も背番号1をつけて初戦の関西創価戦で先発した。しかし、初回に本塁打を打たれるなど、五回までに5失点。途中でマウンドを降りた。試合は0―12で7回コールド負け。先輩たちから「負けたのはお前のせいじゃない」と慰められたが、「自分のせいなのに、慰められたのが逆につらかった」。申し訳なくて、ピッチャーをやめたいとすら思った。支えになったのは同級生たちだった。全員が「お前がエースだからがんばれ」とずっと励ましてくれた。この日も、再三のピンチで、「あきらめんな」とバックに背中を押された。

 力になったのはグラウンドに立った仲間だけではない。伊藤君は1年のころ、金光大阪が夏の大阪大会で準優勝した先輩たちの姿をスタンドから見てあこがれた。今度は自分の番と思っていた。「大阪桐蔭相手にマウンドに立つのは怖い。でも試合を見ている後輩たちにいい野球、いい投球を見せたかった」

 大阪桐蔭はここまで全試合をコールド勝ちで進んできた。伊藤君は強打の相手に八回途中まで投げ、3失点と粘った。横井一裕監督(46)も「よく投げた。入学してから一番いいピッチングだった」とたたえる。

 試合は八回に逆転され、惜敗した。でも、昨夏のような後悔はなかった。「この日のために3年間やってきた。自分たちの力を最後まで出し切れました」とすがすがしい表情だった。(甲斐江里子)

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