神戸国際大付が優勝 父の悔しさも背負った逆転3ラン
(29日、高校野球兵庫大会決勝 神戸国際大付7-3関西学院)
1点ビハインドの三回2死二、三塁。神戸国際大付の5番武本琉聖は、初球から狙っていた。高めのカーブを芯で捉えると、打球は風にも乗って右翼席へ吸い込まれ、逆転3ランとなった。力強いガッツポーズが「思わず出た」。
2人分の思いがこもっていた。一つは自分のもの。今春の選抜大会は仙台育英との2回戦で大敗。安打を一本も打てず、投げても救援で一つのアウトも取れずに4失点した。「どちらとも思うような結果が出せなかった」。力をつけようと、夏へ向けて鋭い打撃を磨いてきた。
もう一つは、父・剛実さんから託されたものだ。同校OBで、プロ野球ヤクルトの坂口智隆の同級生。3年だった2002年の兵庫大会決勝で報徳学園に0―5で敗れた際の最後の打者だった。同じ高校に進むと決めた時、父から「お前は金メダルにかえていけ」と準優勝のメダルを渡された。「決勝は自分のバットで決めたい」という思いはひときわ強かった。
「甲子園で活躍して、優勝したい」。春のようなふがいない試合はもうしないと誓った。(大坂尚子)