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7月28日の高校野球 静岡

2021年7月29日04時00分 朝日新聞デジタル

 第103回全国高校野球選手権静岡大会(県高校野球連盟、朝日新聞社主催)の決勝が28日、草薙球場であった。静岡が中止となった昨年を挟んで2大会連続26回目の優勝を決めた。並み居るシード校、強豪校を破ってノーシードから勝ち上がった東海大静岡翔洋は2004年以来17年ぶりの優勝を目指したが、あと一歩及ばなかった。甲子園大会は8月3日に組み合わせ抽選会があり、9日開幕する。

     ◇

 2点先行の五回裏1死一塁、静岡の4番打者池田惟音(いおん)君(3年)の打球はライナーで右翼席に突き刺さった。2点を加え、試合の流れをぐっと引き寄せた。

 ダイヤモンドを回りながら、何度も大きくガッツポーズした。大会前半は本塁打を狙って力み、不振だった。そんな自分を支えてくれた仲間を思って喜びが爆発した。

 試合終了直後、インタビューで本塁打の場面を聞かれ、「当たっちゃった」と照れ笑いを浮かべたが、その後の取材では、相手投手の投球を「みんなで死ぬほど(録画を)見て研究した」。

 最初の打席で、「球がよく見える。来た」と感じた。力まず素直にバットが出て、二塁打。三回は左翼線への連続二塁打、七回には中前安打。4打数4安打の大活躍だった。

 昨夏は代替大会で、先輩は目指すことさえできなかった甲子園に行く。「泥臭く、がむしゃらに頑張る」。先輩たちの悔しさをバットで晴らすつもりだ。(須田世紀)

     ◇

 圧巻の投球だった。静岡のエース・高須大雅投手(3年)は東海大静岡翔洋打線をわずか2安打に抑え、三塁を踏ませぬ力投。最後の打者を内野ゴロに打ち取ると、右手を高く突き上げ、雄たけびを上げた。

 三度目の正直だった。選抜高校野球大会出場を目指した昨秋の県大会は、準々決勝で三島南に敗れた。同校は21世紀枠で選抜に出場。あこがれの甲子園で躍動する選手たちを見て、悔しさがわき上がった。

 先制を許すと重圧から普段通りのプレーが出来なかった。「プレッシャーの中で力を出し切れない弱さがでた」。敗戦以降、チームでメンタルトレーニングに取り組んだ。

 雪辱を誓って迎えた春の県大会では、スタミナ不足からフォームを崩し、暴投や四球などを重ねて失点。「自分をコントロールできなかった」と悔やんだ。

 あと一歩届かなかった頂点。2度の挫折で得たのは、動じない精神力と、無駄な力を省いた「バテない投げ方」だった。

 この日の決勝では、六回表まで無安打ピッチングも2死から内野安打を打たれた。記録は途切れたが、気持ちは切れなかった。「(捕手の)川端にも『打たれちゃったな』と言われ、しょうがないなと切り替えられた」と後続を断ち切った。

 今夏の県大会では5試合に登板。37回を投げて無失点の好投。夢にまでみた甲子園の切符をつかんだ。だがまだスタートラインに立ったばかりだ。

 「目標はあくまで甲子園で勝つこと。また1戦1戦全力で戦います」(山崎琢也)

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 「自分が踏ん張りきれなかった。監督を甲子園に連れて行きたかったのに」

 試合後、東海大静岡翔洋のエース、鈴木豪太投手(3年)は悔しさを抑えるように話した。

 滋賀県長浜市の出身。中学時代は軟式野球チームに所属し、練習試合で東海大静岡翔洋中等部と対戦した。「石上(賢真主将)たちと試合をして、いい選手がいるなと思った」。一緒に野球をやりたい気持ちが、地元を離れ、東海大静岡翔洋に進学する決心をさせた。

 高校では、その石上主将とバッテリーを組むことに。当初は、球速も120キロほどだったが、次第に頭角を現し、1年夏にはベンチ入り。仲間からも一目置かれる存在となった。

 「絶対に甲子園へ行く」と挑んだ最後の夏。力勝負で負けた春の県大会を糧に、走り込んでスタミナをつけ、勝ち上がった。準決勝では春の東海大会で優勝した掛川西を相手に9回無失点。「ずっと良いピッチングでチームを助けてくれた」。原俊介監督も信頼を寄せるエースに成長した。

 しかし、疲れは確実にたまっていった。「正直体が動かなかった」

 五回裏、インコース高めをねらった直球が甘く入り、相手の4番池田惟音君(3年)に2点本塁打された。中盤での重い追加点。この苦しい場面に声をかけたのは、3年間、共に戦ってきた石上君だった。

 「取り返すから、気にせず投げてくれ」。その言葉に励まされ、残りの3回は無失点に抑えた。

 「2年半、寮生活でほぼ一緒にいた。いい仲間に恵まれました」。あまり喜怒哀楽を表に出さないが、試合後、仲間への思いを聞かれると、目を潤ませた。

 慣れない寮生活を支え、投手としての自分を信頼してくれたチームメートとの日々。大切な思い出を支えに、これからも野球を続けていこうと思う。(魚住あかり)

     ◇

 4点差を追う九回2死。東海大静岡翔洋の主将で4番、石上賢真君(3年)は内野ゴロを打った後、頭から一塁に突っ込んだ。結果はアウト。茶色に汚れたユニホームで涙をぬぐいながら、マウンドで歓喜する静岡ナインを見送った。

 捕手の石上君は同校中等部から進学。1年時から元巨人捕手の原俊介監督に捕手のイロハをたたき込まれた攻守の要だ。原監督も「主将としても、捕手としても成長し、頼もしくなった」と信頼を寄せる。

 チームはノーシードから勝ち上がり、勢いに乗っていた。だがこの日、エース鈴木豪太君が序盤、静岡打線につかまった。「豪太の連投の疲れを考慮した配球ができなかった」と悔やむ。自身も含め打線は相手投手の長身から投げ下ろす直球に苦しんだ。「相手が一枚上手でした」

 目標だった甲子園にあと一歩届かなかった。「この悔しい思いは、後輩たちが晴らしてくれるはず」。そう話す目から涙は消えていた。(黒田壮吉)

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