スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

入部2日で「やめたい」乗り越えた 準Vの熊本北エース

2021年7月28日11時17分 朝日新聞デジタル

 (27日、高校野球熊本大会 熊本工15-2熊本北)

 熊本北が2点リードしていた三回裏、エース浜田健生(3年)の制球が乱れ始めた。先頭打者に死球を与え、その後も連打を浴びるなどして追いつかれた。

 なおも一死満塁のピンチ。チームメートの顔に焦りの色が出始める中、浜田は表情一つ変えずに「大丈夫。アウトを一つずつ取ろう」と仲間に声をかけた。

 続く打者には、ここまで打たれていた直球ではなく、カットボールとカーブを中心に投げて内野ゴロに。次の打者にもインコース高めにカットボールを投げて内野フライに打ち取った。

 野球が好きな父の幸輔さん(50)の影響で、小学4年から野球を始めた。持ち前の運動神経で小学校から中学校まで先発投手として試合に出た。家が近いとの理由で進んだ高校でも当然のように野球部に入った。

 しかし、入部2日で練習の厳しさを感じた。野球は好きだったが、両親に「やめたい」と打ち明けた。「やっていれば良いことがあるから、続けてほしい」と父の説得を受けて続けたが、筋力トレーニングやランニングなど体力の限界まで追い込む練習に何度もくじけかけた。その度に家族やチームメートに励まされた。

 1年生だけが出場する冬の大会で先発を任された。気合が入ったが、前日に体育の授業で足を捻挫。歩くだけで痛む中、「俺がいないとチームは勝てない」と痛み止めを飲んで出場した。

 この時を境に、練習に取り組む姿勢が変わった。2年の秋には背番号1を託された。「自分がチームを引っ張らないといけない」と責任感が増し、より厳しい練習に取り組んだ。今春の県大会前にも左手を骨折するけがに見舞われたが、「エースがいないとだめだ」とテーピングを巻いて出場し、痛みに耐えながら2勝を上げた。

 この日、五回にまたも直球を打たれ、勝ち越された。六回途中までに12失点で降板。初の甲子園出場まで、あと一歩が遠かった。

 試合後、泣き崩れるチームメートの元に駆け寄り、「ありがとう」と声をかけた。この夏、すべての試合で先発登板した。

 「チームメートや家族が引き留めてくれなかったら、野球を続けていなかった。この舞台に立たせてくれたこと、こんなすごい経験をさせてくれたことをとても感謝している」と話した。

 野球はこれでやめるつもりだ。「でも、あんな嫌だった練習がもうできないと思うとやっぱりさみしくて、やりたくなってきます」と笑った。(長妻昭明)

     ◇

 初の決勝進出となった熊本北の一塁側スタンドには、在校生と職員だけで900人以上が応援に駆けつけた。プレーごとに大きな拍手を送った。今春卒業した松野亮大さん(18)ら野球部OBもおり、「決勝進出はすごいとしか(言葉が)出ない。こんなにうれしいことはない」と盛り上がった。

 一塁手・前原慶太(3年)の父雄一さん(44)はじっと試合を見つめていた。自身も熊本北の野球部出身。一塁手で3番打者だった。「同じ背番号だけど息子は4番打者なので、僕を超えたなあと思う」。前原は三回2死二塁でチーム2点目となる適時打を放ち、雄一さんは右手でガッツポーズした。

 その後は熊本工が猛攻。点差が離れても前原は守備位置から声を出した。試合が終わった。雄一さんは「息子は気が優しくて引っ込み思案なのに、大舞台で声をかけ続けていた。成長を感じた」と目を細めた。スタンドから選手たちに惜しみない拍手が送られた。(堀越理菜)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ