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7月27日の高校野球 山口

2021年7月28日04時00分 朝日新聞デジタル

 猛烈な暑さに負けない熱戦だった。27日、山口マツダ西京(山口市)であった準決勝2試合。最高気温36・7度を記録する中、宇部鴻城が九回2死からの3連打で岩国商に劇的なサヨナラ勝ち。高川学園は西京に打ち勝った。甲子園の切符をかけた決勝は29日午前10時から行われる。

     ◇

 九回裏2死、勝利までアウト一つ。140キロ近い直球で2ストライクに追い込み、4球目。「自信のある真っすぐで終わらせたい」。岩国商のエース長川友咲(とわ)君(3年)が投げた球は、放物線を描き右翼へ吸い込まれた。

 「まだ同点。今に生きよう」。真っすぐ打者を見据えた。

 長川君が投手になったのは今春の県大会3回戦から。それまでは捕手。エース候補がいないなか、「体力や部員からの信頼、人間性からみても長川しかいない」と中内博和監督から指名された。

 「自分のことしか考えていなかった」と話す長川君を変えたのは、野球部で約10年前から続く「朝読書」だ。社会科教室には中内監督が用意した実用書や小説が並ぶ。平日午前7時半から45分間。上級生が後輩を誘い、代々受け継がれてきた。

 長川君も前主将で今春卒業した小川幸輝さんに誘われ、参加するようになった。本から学ぶことは多い。なにより、何度も読書に誘って気にかけてくれる小川さんの姿から、自分のためだけでなく人のために行動することが大切だと学んだ。

 「今に生きる」という言葉は、三塁コーチャーの山本光希君(3年)が朝読書で学び、チームに伝えた。「失敗にとらわれたら最高のパフォーマンスはできない」という意味が込められたこの言葉を、部員全員が大事にしてきた。今大会でも、ベンチではいつも「今に生きろ」と声が飛び、スタンドにもこの言葉が掲げられた。

 同点後、さらに二塁打を許し、一打サヨナラの場面。長川君はやはり真っすぐを選んだ。祈るように見つめた打球は、飛び込んだ右翼手の目の前ではねた。動けなかった。

 「よう頑張った。最高のチームをつくった」。試合後、中内監督からかけられた言葉に涙があふれた。

 「高校野球は終わったけど、高校野球がすべてじゃない」。卒業後、グラウンドに来てくれる先輩はみなかっこよかった。今度は自分がその姿を後輩に見せるため、今に生きつづける。(寺島笑花)

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