高校野球三重大会を記者が顧みる 三重、攻守に安定感
三重大会は、三重がノーシードから勝ち上がり、7年ぶり13度目の夏の甲子園出場を決めて幕を閉じた。新型コロナウイルスの感染で、全国的には出場辞退が相次ぐ中、64校が欠けることなく参加。ひたむきなプレーに目が離せなかった。
三重は全6試合でいずれも2けた安打を放ち、計100得点。強力打線のイメージが先行するが、大会を通して失策は二つ。決勝では九回無死満塁のピンチを併殺などでしのぐなど、堅守でもアピールした。
準優勝した津田学園の粘り強さも印象に残る。初戦から四日市南と逆転、再逆転のシーソーゲームを繰り広げた。九回までもつれた末にサヨナラ勝ち。1回戦から決勝までの6試合中、1点差勝負が4試合。劣勢でも食らいつく津田学園の試合は見応えがあった。
1週間で500球の投球数制限があったためか、継投策を駆使するチームが上位へ。松阪商は1回戦から3回戦までの3試合をいずれも4人の継投で勝ち上がった。ピンチの場面では捕手の北村が投手に回り、流れを引き寄せた。
過疎化や少子化の影響で部員不足に悩みながらも、1年生を勧誘したり、ほかの部活から助っ人を呼んだりして、今大会に臨んだ学校もあった。1回戦の四日市農芸―鳥羽は、春の大会まで連合チームを組んでいた学校同士の対戦。互いに手の内を知る相手に全力でぶつかり、四日市農芸が七回コールド勝ちした。
雨天で2回戦の木本―松阪商は、2日連続の順延となった。木本は、学校のある熊野市から松阪市の球場まで、片道1時間半以上かかる移動を連日続けた。OBや保護者ら30人以上が応援に駆けつけ、選手たちも力をもらったはずだ。
全国選手権大会は8月9日に開幕。三重が甲子園でも攻守にすきのない戦いを繰り広げれば、7年前の夏に先輩たちが果たせなかった全国制覇も夢ではない。担当記者として期待は高まるばかりだ。(岡田真実)