7月24日の高校野球 島根
2021年7月25日04時00分 朝日新聞デジタル
第103回全国高校野球選手権島根大会は24日、出雲市と松江市の2球場で準々決勝4試合があった。第4シードの矢上が大社に敗れ、益田東、大社、浜田、石見智翠館の4強が決まった。準決勝2試合は27日、出雲市の県立浜山公園野球場である。
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安来のマウンドに上がったのは吉田慎之介君(3年)。この日も含め全3試合で先発を任された不動のエースだ。前の2戦は力みでボールが先行。リベンジのつもりで投げたこの日は、自分でも納得の立ち上がりだった。
中学3年生の夏、秋田県の公立校・金足農が甲子園決勝まで勝ち進む「金農旋風」が巻き起こった。「地元の高校で甲子園に行くのがかっこいい」。安来を選んだ。
1年の春からベンチ入りし、昨夏の独自大会もエース格として投げた。だが、痛めたひじが悪化し、秋はしばらく投げられなかった。負担がかかる投げ方をしている認識はあったが、フォームを変える決断ができなかった。
「現状維持は後退の始まり」。指導陣に言われた言葉をきっかけに、フォームの改善に取り組んだ。猫背の矯正、内を突く投球術の探求。努力と改善を重ね、この夏に挑んだ。
五回まで益田東の打線をしっかり抑えたが、疲れの見え始めた六回、直球が投げきれず、逆転を許した。「2アウトから粘りきれなかった。悔しい」。それでもベンチに戻り、「自分の仕事は試合をつくること」と切り替え、3失点で完投。昨夏の独自大会優勝校を相手に、最後まで食らいついた。
原田陸斗主将(3年)は、「自分たちの野球ができなかったことは悔しいが、最後は3年生の意地を見せて、一歩も引かない試合が出来た。慎之介は最後までエースとして投げきってくれた」とねぎらった。(榊原織和)