7月22日の高校野球 宮城
どちらが勝っても夏初制覇――。第103回全国高校野球選手権宮城大会は13日目の22日、準決勝2試合があり、仙台三と東北学院が決勝に駒を進めた。仙台三が決勝に進むのは1989年以来で、東北学院は初。決勝戦は23日午後1時から石巻市民で行われる。
◇
6月の組み合わせ抽選会の会場でぼんやりと描いていた考えが、まさか現実になるとは思わなかった。
聖和学園の主将、庄子光翼(こうすけ)君(3年)は、チーム8年ぶりとなる準決勝を迎え、ひときわ感慨深げだった。
対戦相手となる仙台三の主将、佐藤千英(せんえい)君(3年)は、地元・仙台市青葉区の少年野球チームでバッテリーを組んでいた間柄だったからだ。庄子君が捕手、佐藤君が投手。チームを離れてからも、中学2年生の時、市の選抜大会で再びバッテリーを組むなど交流は続いた。
6月。主将として抽選会に参加し、別々のブロックに決まったのをみて、「勝ち抜いたら、当たるのは準決勝か」とふと思ったのを覚えている。
試合前日に佐藤君からラインが届いた。「お互い、悔いなくやろうな」。ともに主将で4番だ。大舞台で対戦できることがうれしくて、「悔いなくやろう」と返した。
一回、庄子君がキャッチャーミットを構える目の前で、打席に立った佐藤君の頭部に球が当たった。その場に倒れ、治療に運ばれた。「早く戻ってこい」。1人も欠けることなく戦いたかった。佐藤君が戻ってくる姿を見たときは、うれしかった。
相手投手を打ち崩すことができないまま、チームは敗れた。終了後、あいさつを終え、佐藤君とがっしり抱き合った。「甲子園、行ってくれよ」と夢を託した。
佐藤君は「おまえ、大好きだよ」と言ってくれた。力を抜かずに全力で向かっていったのが伝わったんだと感じた。少年野球の帰り道、どうすれば野球がもっとうまくなるかばかりを話し合っていた。その光景がよみがえってきて、思わず笑顔になった。「いいチームに負けたな」と思えた。(武井風花)