7月22日の高校野球 新潟
2021年7月23日04時00分 朝日新聞デジタル
第103回全国高校野球選手権新潟大会は22日、ハードオフ・エコスタジアム新潟(新潟市中央区)で準々決勝2試合が行われた。第1シードの新潟産大付が3年ぶり、開志学園が2009年の創部以来初となる4強入りを決めた。両校は25日に準決勝で対戦する。23日も準々決勝2試合があり、4強が出そろう。
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「まだ負けていない。諦めない」。7点を追う三回表2死二塁、新津工の3番田井志英(ゆきひで)(3年)が打席に入った。外角低めの直球を振り抜くと、打球は右前に落ち、二塁走者が生還し、2点目を返した。
小学5年から中学3年まで同じクラスで過ごした仲間の一打に、主将でエースの阿部拓(同)も奮起した。「まだチームは誰も諦めていない」。その裏の新潟産大付の攻撃を10球で三者凡退に仕留めた。
春の県大会は初戦敗退。今夏の3戦連続サヨナラ勝ちの快進撃は、田井の一振りから始まった。2回戦の新津南戦、1点を追う九回裏1死満塁の絶好の逆転機。「もし変化球が来たら……」。そんな不安を振り払い、直球に的を絞りフルスイング。中前への逆転サヨナラ打になった。3回戦は九回裏に3点差をひっくり返した。4回戦は延長十二回の末、勝ち越した。
石川浩監督は繰り返し「最後まで絶対に諦めるな」と選手たちを励ましてきた。今大会のチームは「逆転されてもベンチにはいつも選手の笑顔があった」。阿部は「勝つたびに強くなっていくのを実感した」と話す。
この日の相手は春の県大会優勝の第1シード。攻撃は容赦なかった。二回には打者一巡の猛攻で8失点。四回も4本の長短打などでさらに4点を奪われ、五回コールドで完敗した。
だが、チームの目標だった「8強入りしてエコスタで試合する」は果たした。田井は「コールドは悔しいが、相手打線が強かった。最後まで諦めずにプレーできた」。選手たちの表情は晴れやかだった。(小川聡仁)