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亡き父に応える グラブに入れた刺繡「俺に任せろ」

2021年7月22日14時32分 朝日新聞デジタル

 (21日、高校野球香川大会 大手前高松8-5寒川)

 勝負の打席が巡ってきた。「俺に任せろ」。4―4の九回表1死二塁。寒川の3番打者、市川航都君(3年)は、その言葉を心に抱き、打席に向かった。

 初球をファウルにした直後、真ん中低めの球を左中間へ運んだ。適時二塁打となり、勝ち越しの5点目をもぎ取った。4強をかけた接戦で、ようやく出たこの日初安打。「勝ちを引き寄せられた」とかみしめた。

 岐阜県瑞浪市出身。中学3年生の6月、父・洋一さんが51歳で亡くなった。突然頭痛を訴え、自宅のソファに倒れ込んだ。母は救急車を呼び、自分は父を近くで見守った。薄れゆく意識の父に語りかけられた。「3人を頼んだぞ」。3兄弟の末っ子だが、兄と母を任されたと感じた。

 野球の道に導いてくれた父の思いに応えるように、グラブに「俺に任せろ」と刺繡(ししゅう)を入れた。

 遠く離れた香川県への進学を決めたのは、甲子園に家族を連れて行くためだ。最大の恩返しになると信じていた。母の順子さん(52)も寂しさを押し殺しながら背中を押してくれた。

 しかし、九回裏に逆転され、サヨナラ負け。「後悔はないなんて、きれいごとは嫌い。みんなや母にお返しできなかったことが悔しい」。普段はグラウンドで感情を見せないが、目から涙があふれた。

 「3年間やってきたものを、父にも見せることができたと思います」。最後の打席を誇りに、大学でも野球を続けるつもりだ。父の思いに応える野球道は続く。(谷瞳児)

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