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7月21日の高校野球 千葉

2021年7月22日04時00分

 第103回全国高校野球選手権千葉大会(県高野連、朝日新聞社主催)は21日、ZOZOマリンスタジアムで決勝があった。170校157チームから勝ち進んだ専大松戸と木更津総合の対決は、延長戦にもつれ込み、スタジアム全体が固唾(かたず)をのんで見守る激戦になった。延長十三回のタイブレークの末、専大松戸の吉岡がサヨナラ満塁本塁打を放ち、10―6で木更津総合を破った。専大松戸は春夏連続の甲子園出場で、夏の出場は6年ぶり2度目。全国選手権大会は8月9日に阪神甲子園球場(兵庫県)で開幕する。

     ◇

 試合時間は4時間に迫っていた。球場全体に緊張感が張り詰める中、専大松戸の吉岡道泰選手(3年)に打席が回ってきた。

 無死一、二塁から始まるタイブレークに突入した延長十三回裏。先頭打者がセーフティーバントで走者を進め、無死満塁となった場面だった。

 「これを決めたらヒーローだ」。吉岡選手ははやる気持ちを落ち着かせようと、胸の前で手を合わせた。4球目。真ん中低めにきた球を振り抜くと、打球は右方向のスタンドへ。「入った!」。得点板には「4」の文字がついた。

 ダイヤモンドを駆けながら、だんだんと熱いものがこみ上げてくる。気づけば笑顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。甲子園でリベンジできるんだ――。

 今春の選抜大会、「千葉県の高校球児の中で1番悔しい思いをしたのは自分だと思う」。初戦の中京大中京戦、左翼手の吉岡選手が打球に突っ込んだグラブがわずかに届かず、試合が決まるランニング本塁打になった。

 「あれは外野で1番やっちゃいけないやつ」

 この試合後、ツイッターやネットには心ない言葉があがった。「試合のビデオもその部分は見たくなかったし、賛否両論がいわれるツイッターのアプリも削除した」。野球をやめたいと思うほど苦しかった。「甲子園は魔物」だった。

 試合直後には、涙に暮れていたホテルの一室に、石井詠己主将(同)が駆けつけてくれた。「石井も悔しい思いをしているはずなのに、自分のこと以上に気にしてくれていた」

 仲間への感謝が野球に向き合う原動力になった。

 迎えたこの日、延長十三回の打席。ボール球を見逃してベンチをみると、石井選手と目が合った。満面の笑みだった。「本当にいい仲間に出会えたな。少しでも長く一緒に野球がしたい」

 苦難を経て、甲子園への強い思いで放った一打は、再びチームを甲子園へと導いた。吉岡選手は「やってきたことは間違いじゃなかった。もうツイッターやネットなんてどうでもいいと思える」。

 甲子園で、またあの球がきたら必ず捕るつもりだ。そして、仲間と目指すは「全国制覇」だ。(竹中美貴)

     ◇

 準決勝に続いて先発のマウンドに立った専大松戸のエース・深沢鳳介選手(3年)。この試合、持ち味の内外角を丁寧に突く直球と鋭い変化球はなかった。

 「昨日の疲れもあり、甘い球がいってしまった」。早いカウントで、ストライクを取りにいった球が狙い打ちされ、本塁打を含む6被安打で3失点。四回途中で岡本陸投手(同)に後を託した。

 木更津総合打線の特徴を伝え、「任したぞ」と岡本投手に力強くボールを渡した。右翼の守備に回り、岡本投手を背後から支え、声を出し続けた。

 八回、岡本投手の制球が乱れる。四球をきっかけに猛攻にあい、点差はあっという間になくなった。深沢選手は自チームの攻撃の合間にもキャッチボールを続け、マウンドに戻れる状態を作っていた。

 十三回のタイブレークを先頭打者として迎えた深沢選手。一打サヨナラの場面で、初球をバントで三塁線へ転がし、一塁に頭から滑りこみ内野安打として無死満塁。次打者のサヨナラ満塁本塁打をお膳立てした。

 試合後、深沢選手は今試合の悔しさをにじませつつ、選抜で好投しながらも敗戦した甲子園のマウンドへの思いを口にした。「この悔しさを晴らせるように、自分らしくコーナーを丁寧につくピッチングをしたい」(石垣明真)

     ◇

 四回表無死一塁、マウンドには背番号11の岡本陸投手(3年)が登った。すでに3点差をつけられていた。深沢鳳介選手(同)を救援し、相手の送りバントを三飛とさせ、併殺で試合の流れを引き寄せ、反撃への勢いを作った。

 この試合、持丸修一監督からは「早いうちから投げられるようにしておけ」と言われていたが、想定よりも早い継投だった。「自分の役割は、この流れを変えること」。外角低めをつく投球が味方の猛攻を呼び込んだ。3点のリードを奪い勢いに乗ると、六回以降は三者凡退に打ち取っていた。

 これが一変したのは八回だった。七回裏に攻めあぐねた流れを断ち切れず、四球や長短打で追いつかれた。それでもリードは許さなかった。「深沢と2人で高め合ってやってきた。自分もエース」という思いが気持ちを奮い立たせながらも、頭は冷静だった。

 両チームとも0点が続いて迎えた十三回表のタイブレーク。遊撃手の石井詠己選手(同)が「二塁走者にスタートを切られるかもしれない」と声をかけた。その言葉でさらに冷静になると、走者が三盗を試みる動きを牽制(けんせい)。アウトをとった。ピンチにまた、流れを変えた瞬間だった。声援のない球場で、このプレーへの拍手はひときわ高くなった。

 0点に抑えたその裏、タイブレークで二塁上にいた岡本投手は、吉岡道泰選手(同)の大飛球を見上げ、本塁上では、まず深沢選手と抱き合った。「ありがとう」。口からは感謝の言葉がこぼれた。

 「もう深沢のチームとは言われない。うちはダブルエースです」。持丸監督はそう話した。岡本投手は「甲子園で自分が投げたいという気持ちは強い。チームに勝ちをもたらすピッチングをする」と力強く誓った。(石垣明真)

     ◇

 同点で迎えた八回裏2死一、二塁。背番号「10」の神子史温投手(3年)がマウンドに立った。

 「マウンドに立てば背番号は関係ない。立ったやつが背番号『1』」。この大会では準決勝まで計18回をそんな気持ちで投げ抜き、5失点と好投してきた。

 この日も「右打者には絶対に打たれない。抑えてやる」と強気だった。カウント3―2から投げたスライダー。バットの金属音が響いた次の瞬間、遊撃手の大西智也選手(3年)が腕を目いっぱい伸ばして打球を捕った。「みんなを信頼している。振り返ったらやっぱり捕ってくれていてうれしかった」と神子投手。ピンチを切り抜けた。

 チームの絶対的エースは、140キロを超える速球が武器の島田舜也投手(3年)だ。神子投手は「背中をずっと追いかけてきた」。しかし、昨秋の大会後に島田投手が故障し、神子投手がエースの役割を担うようになった。

 ただ、「背負うものは大きくなったけど、やることは変わらない」。島田投手の復帰後も見据え、冬のあいだに3種類の変化球を習得した。「島田は速球で三振を取りにいくタイプ。違う部分で勝とうと思って、制球力と変化球を磨いた」。打たせて取る投球を身につけ、春の大会では背番号「1」をもらった。

 今大会では、復帰した島田投手がエースナンバーをつけた。準々決勝、1年の夏に準決勝で敗北した習志野に島田投手が完投し、勝利した。「自分としてもエースが投げきって勝ってほしかった」。試合後には「よくやった」とともに喜んだ。

 この日の決勝では先発した島田投手が六回で降板。神子投手は八回にバトンを受け取った。内角への直球と外に逃げる横スライダーを投げ分け、延長十二回まで無失点と好投。冬に習得した緩いカーブは、強打者への初球に投じるなど、要所で効果的に使った。ただ、初めて経験するタイブレークで踏ん張りきれなかったのを悔やんだ。「甲子園で、島田に投げさせたかった」(上保晃平)

     ◇

 木更津総合は3人の3年生が引っ張ってきた。「この3人が活躍しないと勝てない」(五島卓道監督)。ただ、今のチーム悲願の甲子園には届かなかった。

 延長十三回裏、相手打者のサヨナラ満塁本塁打が右翼スタンドに飛び込むのを見送ると、二遊間を守る山中海斗、大西智也、中堅の秋元俊太の3選手はその場に立ち尽くした。

 3人は、1年生の時から先発として試合で経験を積んできた。特に、コロナ禍で甲子園出場がなくなった昨夏の独自大会でも、先輩たちと優勝したメンバーだ。篠木健太郎元主将から、「3人でチームを引っぱってくれ。お前らは甲子園行けよ」と思いを託されていた。一度も経験したことのない甲子園の舞台を、特に強く意識してきた。

 新チームが始まり、秋の県大会で優勝。しかし、選抜甲子園出場を逃し、春の県大会では3回戦で逆転負け。「チームを変えないといけない」(山中主将)と実感し、春の試合結果を練習場の壁に貼って、日常の生活態度や練習の取り組み方から見直した。

 迎えた今大会では、3人それぞれが本塁打を放ち、打率も3割4分を越えた。守備でもセンターラインとして攻守の要を務めた。

 試合後、大西選手から「キャプテンありがとう」と声をかけられた山中主将。「この仲間と野球が出来て幸せだった。こんな自分についてきてくれて感謝です」(小木雄太)

     ◇

 いつもの「打ち勝つ野球」ができていたはずだった。

 三回表1死二塁で、木更津総合の3番打者・大西智也選手(3年)が打席に立った。初球は内角を直球で攻めてきた。2球目も直球だと読んで力強く振り抜くと、打球が伸びていくのが見えた。「入れ、入れ!」と祈りながら一塁へ走っていると、歓声が聞こえた。2点本塁打。腕を突き上げ笑顔で本塁に向かった。

 今大会は初戦から、先制点を挙げ、その後猛打でリードを広げるのが、「勝ちパターン」。この日も、三回までに3点を先行。準決勝までの4試合を2失点に抑えていた相手エースを、四回には降板させた。

 しかし、五回、チームに異変が起きる。大西選手がいつもなら難なく処理できる先頭打者の遊撃ゴロを、捕り損ねてしまう。「もしかしたら気の緩みがあったのかも」。その後、落球や野選などミスが続き、5失点と逆転される。

 ともに二遊間を守る山中海斗主将(3年)は言う。「一番守備がうまいのが大西。あと一つ勝てば甲子園という緊張感があった。誰も責められない」

 チームは冬から振り込んできた打撃には自信があり、全員で「逆転できる」と声をかけ続けた。大西選手は水平に強いスイングができるよう、秋からバントの構えから振り抜くようにフォームを改善していた。

 迎えた3点を追う八回表。無死一、二塁で、再び直球を打ち込むと、右翼手の頭を越す適時二塁打に。相手投手は球威のある直球が武器だったが、振りまけることはなかった。

 この回同点に追いつき、流れを再び引き寄せたかにみせた。だが、延長十三回、甲子園への切符は手からすり抜けていった。「悔しい。甲子園に行きたかった」と声を詰まらせた。(小木雄太)

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