7月20日の高校野球 茨城
2021年7月21日04時00分 朝日新聞デジタル
第103回全国高校野球選手権茨城大会(県高校野球連盟、朝日新聞社主催)は20日、ノーブルホームスタジアム水戸など4球場で4回戦8試合があり、8強が出そろった。
一昨年の101回大会の覇者・霞ケ浦は土浦日大に1―2で競り負けた。昨秋の県大会を制した鹿島学園は岩瀬日大を7―3で破り、常総学院は茨城キリストに辛勝。水城はコールドで江戸川学園に勝った。石岡一、藤代、水戸一、水戸商の公立校も8強入りを決めた。
21日の休養日をはさんで、22日はノーブルホームスタジアム水戸など2球場で準々決勝4試合がある。
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もう一度、あの舞台に立ちたかった。
九回表。霞ケ浦の先頭打者は、4番打者の宮崎莉汰(れいた)君(3年)だった。
「打てる球は全部打とう」。狙い球はない。変化球がストライクゾーンに入ってくる。なりふり構わずたたいた。センター前に落ちるのが見え、思わず声が出た。「よっしゃー!」
1年生の時、霞ケ浦は茨城大会で優勝。阪神甲子園球場のグラウンドに立った。1回戦の履正社戦。宮崎君は一塁手として先発出場した。
しかし、失策を記録してすぐに交代を告げられた。打席には立てなかった。チームは1回戦で敗退。「甲子園にもう一度行きたい、という気持ちでは誰にも負けない」。先輩がしてくれたように、今度は自分が後輩を連れて行く。そう誓って練習を重ねてきた。
昨年は新型コロナの影響で茨城大会は中止となった。県独自の大会は開かれたが、甲子園にはつながっていなかった。
霞ケ浦打線は三回からマウンドに上がった土浦日大のエースを打ちあぐねた。宮崎君も九回の打席まで無安打だった。
最後の打席に、ヒットを打ててほっとした。「気持ちでくらいついたヒット」と振り返った。
その後、同点の好機を作ったが後続が打ち取られ、試合は終わった。
甲子園にもう一度行くという夢はかなわなかった。
「悔いはありません。頑張ってきたことを出し切ったから」。目に涙をたたえて、ほほえんだ。
=Jスタ土浦(伊藤良渓)