7月18日の高校野球 岩手
2021年7月19日04時00分 朝日新聞デジタル
第103回全国高校野球選手権岩手大会は11日目の18日、県営、花巻の2球場で3回戦計4試合があった。昨夏の独自大会で8強になった盛岡一は延長十一回の熱戦の末、6―5で第3シードの久慈を破り、一関学院、水沢工、花巻農とともに8強入りした。19日は県営と花巻で準々決勝計4試合があり、4強が決まる。
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3点を追いかける六回表、1死一塁の場面で久慈の大村蓮君(3年)は打席に立った。調子が上がらず、初戦はノーヒット。この日も2打数無安打に終わっていた。
「絶対に打ってやる」
初球、内角低めの直球を振り抜くと左中間を破る二塁打に。後続も連打し、同点に追いついた。
1点勝ち越されたあと、八回表には、先頭打者で右前にはじき返した。流れを呼び込み、再び同点に持ち込んだ。
中学まで投手をしていた大村君。全国大会への出場経験があり、甲子園出場校からも誘いが来た。悩んだ末、「公立で甲子園に」と久慈を選んだ。
だが2年の秋、右肩を故障し、右中指を骨折。野手に転向し、今度はホームラン打者になろうと、バットを振り込んだ。
そんな姿を見た柴田護監督に諭された。「ホームランを打っても、チームが負けたら意味がない」。短打でつなげる打者になり、今春4番を任された。
主軸としての重圧から、初戦は結果が出なかった。この日から7番に下がったことで、かえって吹っ切れた。
九、十回は両チーム無得点。そして十一回裏、2死二塁になり、一打サヨナラの大ピンチを迎えた。
次打者にはじき返された2球目は、一塁の大村君の視界をかすめ、右中間へ。右翼を守っていた宇部天翔(たかと)主将(3年)は途中で追うのをあきらめ、そのまま肩を落とした。
3時間近い熱戦。相手の倍近い15安打を放ちながら、守備のミスを突かれて敗れた。
「相手が一枚上手だった」と大村君。宇部君は「一高は粘り強かった」と相手の力を認め、「けれど、自分たちも最後にふさわしい試合ができた」と絞り出した。(唐沢俊介、西晃奈)