7月16日の高校野球 新潟
2021年7月17日04時00分 朝日新聞デジタル
第103回全国高校野球選手権新潟大会は16日、2回戦3試合があった。昨夏の独自大会4強の上越、柏崎工、糸魚川が勝ち進んだ。昨夏の独自大会優勝の中越が出場辞退となったため、長岡が不戦勝となった。17日は3回戦8試合が予定されている。
◇
5点を追う八回。先頭の三条商の主将、木下倫孝(ともたか)(3年)の打球が一、二塁間を抜けた。決して強い当たりではなかったが、逆方向に流し打った。小林豊監督が「きれいな安打ではないが、気持ちのこもった意地の一打」とたたえた。
昨秋は見附との連合チームのエースとして県大会で16強入りに貢献した。今大会は、チーム事情で捕手に。約2カ月前に初めてマスクをかぶったばかりだ。
ベンチ入りの選手17人のうち3年は木下と須藤好崇右翼手の2人だけ。1年10人、2年5人と若いチームを牽引(けんいん)してきた。
チームは初回、四球を足がかりに長短打、スクイズで畳みかけ3点先取、理想的な立ち上がりだった。だが、直後の守備で糸魚川にバント安打2本で揺さぶられ、硬さがとれない内野陣が失策と悪送球で3失点。さらに適時打で勝ち越しを許した。
1年生エースの左腕・石部悠真は、ひざの不調もあり本調子ではなかった。それでも緩急を使い、投手経験を生かしたリードでもり立てた。攻撃では「最も打てる」(小林監督)1番打者として期待されていたが、「リードでいっぱい、いっぱいになった」と3打席目まで無安打。九回は打席が回ってこず、次打者席で試合終了を迎えた。
石部への信頼からこの日は「マウンドに立ちたい気持ちは起きなかった」という。前監督との野球観の違いから一時は退部を考えたこともあったが、連合でも単独でも大会に出場した。「最後に勝ちたかったけど、厳しい中にも楽しく野球ができた」。悔しさを胸に押し込め、笑顔で記念写真の輪に加わった。(松本英仁)